「バイリンガルは10歳まで、英語習得は18歳まで」日本で習得するには?
この「子どもの英語教育=英会話」という思い込みが、日本人の英語力を停滞させている原因の一つであると私は考えています。
子ども時代の高い言語吸収能力を「学習英語力」に向けることで、日本人の子どもも流暢な発音で英語の本が読めるようになります。(事実私の指導した生徒はネイティブ発音で英語の本が読めます)英語の本が読めるようになれば、日本で暮らし、日本の学校に通いながら、英語力を限りなく向上させていくことができるのです。
どうやって「学習英語力」を育てるのか?
「学習英語力」の育成は「フォニックス」からスタートします。フォニックスは日本語の「ひらがな五十音」に相当するもので、「A=ア」「B=ブ」「C=ク」という要領で、アルファベット26文字の「音」を教える指導法です。
日本では「A=エイ」「B=ビー」「C=シー」とアルファベットの「名前」を教えますが、これを覚えても簡単な三文字単語の「CAB」すら読むことができません。「CAB=シーエイービー」になってしまいます。しかしフォニックスでアルファベットの「音」を学ぶと「CAB=クアブ」と正しい発音で読めるようになります。
フォニックスで単語が読めるようになったら、次のステップは「超簡単な本」の多読です。
子ども向けの英語の本には「英語を第二言語で学ぶ学習者向け」の「Graded Readers」や「英語ネイティブの子どもが読む練習をするため」の「Leveled Readers」など、段階的に難易度が上るように作られているシリーズがあります。これらを活用することで、語彙力や文法知識が少ない子どもでも英語の本を読み進めることができるようになります。
そこから先は、子どもの興味や関心に合った英語の本を与えていくことで、自学自習で英語力を伸ばしていくことができるわけです。「小学校時代にフォニックスと多読を指導する」。これが、私が考える、日本で子どもに高度な英語力を身につけさせる最適な方法です。
[執筆者]
船津徹
TLC for Kids代表。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。2001年ハワイにてグローバル人材育成を行なう学習塾TLC for Kidsを開設。2015年カリフォルニア校、2017年上海校開設。これまでに4500名以上のバイリンガル育成に携わる。著書に『世界標準の子育て』(ダイヤモンド社)『世界で活躍する子の英語力の育て方』(大和書房)がある。