最新記事

英語学習

「バイリンガルは10歳まで、英語習得は18歳まで」日本で習得するには?

2021年06月29日(火)12時45分
船津徹

日本でバイリンガルを育てる方法は?

では日本でも「10歳まで」に英語学習をスタートすればネイティブレベルになれるのかといえば、そんな簡単な話ではありません。前述の研究は「英語圏で生活経験がある学習者」を対象としています。日本のように英語を使う機会がほとんどない環境で、週に数時間英語を習っても、満足な英語力は身につかないことは周知の通りです。

子どもをバイリンガルに育てるには「10歳まで」にインターナショナルスクールやイマージョンスクールに通わせたり、あるいは「10歳まで」に英語圏に移住や留学をして「完全英語環境に浸る経験」が必要ということです。

最近、日本でも英語で子どもを保育する英語プリスクールや英語キンダーガーテンが増えてきました。言語吸収力が高い乳幼児期にネイティブの英語に触れさせることで日本語アクセントのない綺麗な英語発音が身につくことから、人気が高まっています。

乳幼児期に英語プリスクールなどに通わせておけば、その後も英語力が伸び続け、バイリンガルに育つように思えます。ところが、実際にはプリスクールを卒業して日本の小学校に通い始めると、英語力は落ち込んでしまうのです。

親の海外転勤に伴って英語圏で幼児期を過ごした子どもが、帰国して日本の小学校に通い始めた途端、「得意だった英語をすっかり忘れてしまった!」という話を耳にすることがありますが、これも同じ現象です。

日本国内で子どもをバイリンガルに育てるには、少なくとも小学校時代を通してインターナショナルスクールやイマージョンスクールに通わせなければ難しいのが現実です。でもそれが無理という場合、普通の日本の小学校に通いながら子どもの英語力を伸ばす方法はないのでしょうか?

学習英語力を鍛えれば英語力は伸びる

英語力には「生活英語力」と「学習英語力」があります。簡単に言えば「生活英語力」は日常生活で必要な英会話力。「学習英語力」は読み書きの力です。英語を使うことがない日本で子どもの英語力を育てるには「生活英語力」から「学習英語力」へ学習の重点をシフトする必要があります。

子ども時代にいくら英会話を覚えても日本では実践する場がありませんから、技能が定着しないのです。小学校に通い始め、日本語に囲まれて過ごす時間が増えるにつれ、乳幼児期に身につけた「英会話力」は衰えていきます。

学齢期を通して英語力を伸ばすためには「学習英語力」を鍛え、英語の本が読めるようにしてあげることが必要です。英語の本が読めるようになれば、子どもは読書を通して自学自習で英語力を伸ばしていくことができます。

子どもの英語教育を考える時、多くの人は「英会話」を思い浮かべると思います。英語の読み書きは学校で勉強するからわざわざ習わせる必要はない。それよりも日本人が苦手な「英会話」を習わせるべきだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ空軍が発表 初の実

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁

ビジネス

大手IT企業のデジタル決済サービス監督へ、米当局が
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 2

    キャサリン妃が「涙ぐむ姿」が話題に...今年初めて「…

  • 3

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 4

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 5

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 1

    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...…

  • 4

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 5

    キャサリン妃が「大胆な質問」に爆笑する姿が話題に.…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:超解説 トランプ2.0

特集:超解説 トランプ2.0

2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること