アメリカでは子どもにどう英語を教えるのか?
リーディングを鍛えれば自学で英語力を伸ばすことができる
当初はコモンコアを導入したものの、後に5つの州が離脱して独自のカリキュラムに移行するなど、アメリカの教育現場からは賛否両論のコモンコアですが、リーディング力の育成にフォーカスした英語カリキュラムは日本人学習者にとっても大いに参考になります。
日本人の英語力が向上しない原因に「英語を読む訓練が少ないこと」が考えられます。学校で行われている授業は、英語を文法ルールに則って和訳する文法訳読が中心です。コモンコアにあるような「英語を読むための段階的な指導」はほとんど取り入れられていません。
英語を読む訓練が足りないと、英語を正しいリズムとイントネーションで読むことができないため、理解が伴いづらくなります。英語は日本語に比べて抑揚が大きい言語ですが、その理由は、重要な単語を強調し、重要性が低い単語を弱く発音するルールがあるからです。英語のイントネーションには「話し手のメッセージを決める」働きがあるのです。
日本のように日常的に英語を話すことがない環境では、ネイティブとのコミュニケーションを中心とした英語学習は現実的ではありません。それよりもフォニックス、サイトワーズ、多読など、英語を読む力の育成に目を向けることで、子どもたちが「読書を通して」独学で英語を身につけることが可能になるはずです。
[執筆者]
船津徹
TLC for Kids代表。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。2001年ハワイにてグローバル人材育成を行なう学習塾TLC for Kidsを開設。2015年カリフォルニア校、2017年上海校開設。これまでに4500名以上のバイリンガル育成に携わる。著書に『世界標準の子育て』(ダイヤモンド社)『世界で活躍する子の英語力の育て方』(大和書房)がある。