4割の子どもにできていない「健全な愛着形成」 良い親子関係を作るコツとは?
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<一見するとごく普通に子育てをしているように見える親だとしても、愛情ホルモンの分泌が悪ければ、子どもに愛情が伝わらないことも...>
子育ては時間と手間がかかる面倒なものです。しかし何事にも効率が要求される現代社会では、ゆっくりと時間をかけて親子の信頼関係を築くことが難しくなっています。親子であれば特別なことをしなくても良い関係が築ける、分かり合えると思われがちですが、限られた時間と触れ合いの中で良好な親子関係を構築するには「ちょっとした工夫」が必要です。
4割の子どもに愛着形成ができていない
2018年にミズーリ州立大学、ノースカロライナ州立大学、ペンシルバニア州立大学が合同で行なった調査によって、母親が主たる養育者であっても、赤ちゃんの約4割に「健全な愛着形成」が確認できないことが分かりました。
この調査では、赤ちゃんをあやしている時の母親の心拍数と感情の起伏を測定しました。その結果、感情の起伏が少ない母親の子どもに「愛着形成が成立しない傾向」が強く見られました。ちなみに愛着形成とは、子どもが特定の他者に対して持つ情愛的な絆(信頼感)のことです。
母親が赤ちゃんをあやしたり、授乳している姿は、周囲の人々をほっこりと優しい気持にさせる微笑ましい光景です。しかし一見するとごく普通に子育てをしているように見えても、実際には「4割」の子どもに「愛着形成」が構築できていないという事実は現代社会が抱える歪みであり、大きな問題です。
もちろんどの親もわが子を愛したいと心から願っています。しかし子育て中の親が過剰なストレス、疲労、プレッシャーにさらされることで、愛情ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」の分泌が悪くなり、それが原因で親の愛情が子どもに十分に伝わらないことがあるのです。
「オキシトシン」は、女性が出産や授乳する時に分泌されるホルモンとして知られていましたが、最近の研究によって、赤ちゃんを「愛おしい」「守りたい」「かけがえのない存在」と感じる「母性の源」であること、他者との信頼感を構築するカギであることが解明されてきました。
子どもが親の愛情を実感するメカニズム
赤ちゃんにおっぱいをあげると、まず母親の血中にオキシトシンが分泌されます。オキシトシンが母乳を通して赤ちゃんの体内に入ると、赤ちゃんはリラックスして幸せな気分になります。すると、赤ちゃんもオキシトシンを分泌しやすい体質に変化していきます。
母親の温かく柔らかい胸に抱かれ、胎内で親しんだ心臓の鼓動を聞きながらおっぱいを飲むと、オキシトシン効果で赤ちゃんは安心感と幸福感に包まれます。これが「親の愛情を実感する」メカニズムです。この「愛情の実感体験」の積み重ねが親子の信頼関係を構築していくカギなのです。
オキシトシンの分泌を促進するには、まず母親がリラックスしていなければなりません。そのためには、父親はもちろん、祖父母、兄弟姉妹など家族全員が協力して母親が子育てしやすい環境、母親が安心できる環境を整えることが大切です。