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感染症対策

外出自粛で仕事に子供のホームスクーリングまで 欧州、新型コロナで母親の負担増が明らかに

2020年05月25日(月)20時45分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

イギリス 欧州最多の死者、緩和遅れて両立大変

フランスから1週間遅れてロックダウン宣言したイギリスは、5月に入り、感染による死者がイタリアを抜いてヨーロッパで最も多くなった。食料品などの必需品以外の小売店や学校の再開は、6月になるかもしれない状況だ。

父親・母親別の調査結果は見当たらないが、親への調査は実施されている。保護者と学校のためのチャリティー組織ペアレントキンドが、3月後半のロックダウン宣言直前と、その1か月後(4月 23日~5月4日)に実施した2度のオンライン調査を見てみよう。2度ともイングランド、ウェールズ、北アイルランドの親たちが回答した。

3月は、691人が回答した。「休校はあなたにどんな影響を与えると思いますか」という質問に628人が自由記述で回答し、49%が仕事について書いていた。「夫婦ともフルタイム勤務のため、仕事の調整が非常に難しくなるだろう」「仕事があるし、子供にきちんと勉強してほしいし、すごくストレスになる」「いまテレワークしているが、2人の子供がずっと家にいる状況は本当にたいへん。ひどすぎる」といった書き込みがあり、多くが仕事と子供の世話とで不安を抱えていた。

2度目は回答者が一挙に増え、25万7392人に達した。「感染で、親として何が1番心配ですか」という質問への答えで1番多かったのは、子供が友達に会って交流していないこと(48%)で、仕事をしながら子供の学習をサポートできるかどうか(31%)も5番目に多かった。

なお、ベビーシッターや保育士など、子供の世話役を検索できるサイトchildcare.co.ukでは、「6月1日から学校が再開するとたら子供を学校に行かせたいですか」という質問に、回答者の81.3%、1万6913人の親が「いいえ」と答えた。安全面を理由に挙げる人がほとんどだったが、家で子供と過ごすことが楽しいので学校に戻ってほしくないという人も14.4%いた。

スイス 一例として筆者の負担は......

スイスも封鎖が緩和され、だいぶ日常が戻ってきた。しかし、引き続き在宅ワークが奨励され、筆者の夫は家で働き、高校生の息子はまだ休校中で家にいる。息子は自分で勉強を進めているので、上記の調査にあるようなストレスは筆者にはない。

とはいえ、普段なら昼食は外でとる2人が家にいるため、料理の負担が増えた。家で働くほうが忙しいと言う夫は、買い出しも昼食作りもノータッチ。息子も料理はしない。

昼食も夕食も毎日違うメニューを用意するのはなかなかたいへんだが、食器洗浄機があることに感謝しつつ、2人が再び通勤、通学する日を待っている。

s-iwasawa01.jpg[執筆者]
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。得意分野は社会現象、ユニークな新ビジネス、文化で、執筆多数。数々のニュース系サイトほか、JAL国際線ファーストクラス機内誌『AGORA』、季刊『環境ビジネス』など雑誌にも寄稿。東京都認定のNPO 法人「在外ジャーナリスト協会(Global Press)」監事として、世界に住む日本人フリーランスジャーナリスト・ライターを支援している。www.satomi-iwasawa.com

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