最新記事

英語学習

英語嫌いな子供になって当然。日本の英語教育の欠点を自学でカバーする方法とは?

2020年02月18日(火)19時45分
船津徹

「勉強が苦手!」という英語ネイティブの子どもに共通するのが「本への抵抗感が強いこと」 castillodominici-iStock

<英語ネイティブの勉強嫌いの子も日本人の英語学習も、苦手を感じる原因は同じ。英語への抵抗感を減らすために、教育のスタート時に出来ることがある>

アメリカの子どもたちは小学1年生になると、毎日短い本を1冊読むこと、あるいは20〜30分間の読書をすることが宿題として義務づけられます。なぜ文字を習い始めたばかりの子どもに大量の読書を要求するのかというと、多読によって「リーディングフルエンシー/読みの流暢さ」を身につけることが、子どもの学力向上に直結するからです。

読書啓蒙活動を行うThe Children's Reading Foundationによると、全米の学校カリキュラムの「85%以上」は「読むこと」で構成されているそうです。つまり小学校低学年の時期に本を早いスピードでスラスラと読み解ける力を獲得できれば、あらゆる教科学習がスムーズに進むというわけです。

読む量が少なすぎる日本の英語教育

全米の4年生、8年生(中学2年)、12年生(高校3年)を対象に実施される全米学力調査(NAEP)の結果を見ると、小学4年生時点のリーディング力は、8年生、12年生になっても変わらないことが分かります。つまり小学校低学年の時期に満足なリーディング力が身につかないと、学年が上がってから取り戻すことが難しくなるのです。

日本でも小学3年生から英語の授業が始まりましたが「コミュニケーション」が強調され過ぎていて「英語を読む指導」がほとんど行なわれていません。子どもを英語嫌いにしないようにとの配慮ですが、私は英語の音や活字への抵抗感が少ない小学校低学年こそリーディングを指導する適齢期だと考えています。

日常的に英語を使う環境がない日本ではコミュニケーション中心の英語教育は現実的ではありません。実践の場がないため学習内容が定着しないのです。外国人とのコミュニケーションに慣れさせたり、異文化体験をすることは大いに意義がありますが、肝心の英語力の向上はあまり期待できません。

近年、韓国、中国、台湾など、アジアの国々が英語力を向上させていますが、その一因として、小学校低学年から英語を正式教科とし、リーディングを指導していることがあると私は考えています。

コミュニケーションは相手が必要ですが、リーディングは自学自習できるのです。いつでも、どこでも、何時間でも、本さえあれば、学習者のやる気次第でいくらでも英語力を向上させていくことができます。

参考までにご紹介しますが、日本の中学1年〜3年の英語教科書に出てくる延べ単語数は「3年間で約6000語」です。アメリカの小学2年生は「1年間で平均85000語」を読みますから(Accelerated Reader 2018)、日本の英語教育はもう少し「リーディング」の育成に目を向ける必要があるのではないでしょうか。

【参考記事】日本人の英語力強化に必要なのは入試改革だけじゃない

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ空軍が発表 2人負

ビジネス

大手IT企業のデジタル決済サービス監督へ、米当局が
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    【ヨルダン王室】世界がうっとり、ラジワ皇太子妃の…

  • 5

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 1

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 2

    キャサリン妃が「涙ぐむ姿」が話題に...今年初めて「…

  • 3

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 4

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 5

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 1

    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...…

  • 4

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 5

    キャサリン妃が「大胆な質問」に爆笑する姿が話題に.…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:超解説 トランプ2.0

特集:超解説 トランプ2.0

2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること