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子育て

教育は成功、でも子育ては失敗! 親の仕事は教育ではなく「心を育てる」ことです

2020年01月21日(火)16時30分
船津徹

教育の目的は知識や技能の習熟

次に「教育」の目的は「知識や技能の習熟」です。責任者は「親」でも可能ですが、現代社会においては「専門家」が担うケースがほとんどです。保育園や幼稚園の先生、習い事の先生、学校の先生の仕事は「子どもに効率的に知識や技能を習熟させること」です。

親が「子育て」と「教育」をごちゃ混ぜにして、学校の先生に子育てを期待したり、また、親が教育者になって知能教育に熱中すると、子どもの成長にゆがみが出たり、親子関係がぎくしゃくすることが多くなります。

わかりやすい例が「お受験」です。親が受験にヒートアップしてしまい、子どもを叱りつけたり、勉強を強制したり、周りと比較して「◯◯ちゃんはできるのに!」という心ない言葉をかけてしまう。そんな場面が多くなると、子どもは自信を喪失し、やる気を失い、最悪の場合、反抗心を根付かせます。

親の仕事は「心育て」。これを意識していれば、受験をする場合でも、親が過熱することは少なくなります。上手くできない子どもを叱るのでなく励ます、勉強を強制するのでなく自主的にやるように導く、周りと比較せず子どもの成長をほめる、これが「心を育てる」ということです。

親は「心育て」に専念し、「教育」は専門家に任せると、子どもはスクスクと成長していきます。もちろん家庭では親も教育サポートを与えますが、あくまでも後方支援です。学習習慣をつけたり、考えさせる質問をしたり、問題解決のヒントを与えたり、励ます言葉をかけたりということが中心となります。

教育は成功した、でも子育ては失敗した!

子育てと教育の混同が起きる原因の一つが「学歴主義」です。子どもの知能を伸ばし、よりよい学校に入れることが人生の成功切符であると、親も教師も受験のための「知能教育」に躍起になり「心育て」が置き去りにされているのです。

現代社会はあまりにも知能教育が重視されすぎて、心とのバランスがとれていません。英語、プログラミング、考える力など、知能教育の比重は時代とともに加速度的に大きくなる一方ですが、それを支える心は不安定なままなのです。

筆者の中国人の知人は、熱心な英才教育が功を奏して、一人息子をコロンビア大学に合格させました。子どもをアイビーリーグ大学に入れて両親は幸せな日々を過ごしていると思いきや、一人息子は進学してから両親との会話を拒否し、大学の卒業式にも両親には来ないでほしいと言い張り、親子関係が完全に断絶しているというのです。

『教育は成功した、でも子育ては失敗した』そんなケースが増えています。子どもが自分らしく自己実現していくためには「心育て」を忘れてはいけません。親は子どもの「心」の状態を常にモニターし、不安定な兆候があるときは、子どもと皮膚接触を増やし、受け入れ、励まし、安心させてあげてください。

子どもの「心」が安定していれば、その上に積み上げていく「知能教育」は決して難しくありません。子どもは集中して勉強に向き合うことができますから、大抵の技能をスムーズに習熟できるのです。勉強ができる子どもに育てるコツは子どもの心を安定(安心)させることです。

【参考記事】中学受験で親子でも夫婦でも喧嘩せずに合格を勝ち取る方法

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