「ダメ、ダメ」言い過ぎる母親を生む日本社会で、自己肯定感の低い子にしない最高の方法
連帯責任という強迫観念が無意識のうちに人々を抑圧している?(写真はイメージ)takasuu-iStock
<日本で「他人に迷惑をかけない子に育ってほしい」と思う母親の多さは異常なレベル。この考え方は、子どもの自己肯定感を高めるのに必要な「自主的な行動を通した成功体験」を積ませることとは相反する思想なのです>
国立青少年教育振興機構が、日本、韓国、中国、米国の高校生を対象に行なった意識調査(2018)があります。この中で、「私は価値のある人間である」という質問に「YES」と答えた割合は、日本人は44.9%でした。(韓国83.7%、中国80.2%、米国83.7%)
日本人は謙遜しますから多少色をつける必要がありますが、「自分は価値がある」と答えた高校生が44.9%というのは低すぎる数字です。裏返せば、「自分に価値がない」と感じている高校生が半数以上いるということです。
自己肯定感の定義は様々ですが、この感情を支えているのは、「自分はできる」という「根拠のない自信」であると私は考えています。「自分はできる」と信じている人は、チャレンジを繰り返し、成功体験を積み重ね「根拠のない自信」を「根拠のある自信」に変えていくパワーを持っています。
これとは反対に「根拠のない自信」が小さいと「自分はできる」という自信よりも「失敗するのではないか」という不安感が目の前に大きく立ちはだかり、新しい挑戦がしにくい、人生に対して消極的な態度が形成されてしまうのです。
なぜ、日本人の子どもは自己肯定感が低いのか?
私は、日本、米国、中国で塾を経営し、世界中の国の子育てを見てきましたが、日本人の自己肯定感が低い原因が「まわりに迷惑をかけない子育て」にあるように思えてなりません。
ベネッセコーポレーションが日本、韓国、中国、台湾の母親に行なった「子どもに期待する将来像」という調査で「人に迷惑をかけない人になってもらいたい」と答えた割合は、日本71%、韓国24.7%、中国4.9%、台湾25%でした。日本の71%というのは突出した数字です。
「人に迷惑をかけない人になってもらいたい」というのは「まわりと同じであってほしい」「目立つ存在にならないでほしい」という心理が母親に働いている現れと受け取ることもできます。
これは悪いことではなく、子どもが「出る杭」にならないように、いじめや仲間はずれの対象にならないように、子どもを守ることが目的であり、「日本社会」で生き残る子どもに育てるための母性本能とも言えます。
しかし、子どもが「出る杭」にならないように育てるというのは、言葉を変えると、「個性を抑え、集団に合うように行動をコントロールすること」です。つまり、自主的な行動を通して「自分はできる!」という成功体験を積ませることとは矛盾してしまうのです。