冷え対策をしているのになぜ改善しないのか? 薬剤師に聞く
すべての「気」の源、腎の「気」が不足して足腰が冷える、腎陽虚タイプ
東洋医学で老いと若さを司るとされ、体のすべての「気」の源である腎の「気」が不足し、温める力が弱くなった腎陽虚タイプでは足腰、特に足首の冷えが強く感じられる。
早速自覚症状をチェックしていこう。
□腰、膝、足首の冷えがある
□疲れやすい、無気力
□年齢の割に老けている(若白髪、シワが多いなど)
□尿が近いか出にくい
□顔の血色が悪くむくんでいる
□精力の減退
「腎陽虚タイプの方の冷えには『八味地黄丸(はちみじおうがん)』を用います。もし足のむくみや膝の痛みがある場合は『牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)』を選ぶと良いでしょう。老いのスピードを緩やかにしてスローエイジングを目指している方、妊活中の方の場合は動物由来の生薬が含まれていて腎の「気」を養う効果が高い『参茸補血丸(さんじょうほけつがん)』がおすすめです」(猪越博士)
足首には腎を養うツボがたくさん集まっている。ここを冷やすと腎の「気」の巡りが悪くなって、冷えがつらいのはもちろん、老化もすすんでしまう。靴下やレッグウォーマーを使って物理的にも保温し冷やさないように心がけよう。お灸なども効果的だ。
腎を養う食べ物は「黒い食べ物」「ぬるぬるねばねばするもの」と覚えておこう。黒い食べ物としては、黒豆、黒ゴマ、黒キクラゲなど。ぬるぬるねばねばするものとしては、山芋、納豆、オクラなどがある。意識して食卓に取り入れるようにしたい。
このように冷えといってもその人の体質によって改善のための対処法が異なる。また、自分自身の体をみても、そのときのストレスのかかり方などによって体質タイプは変化する。今の自分の体と向き合い、つらい症状を和らげるために適した手当ての方法を取り入れて寒い季節を乗り切ろう。
【参考記事】「なぜ私のカゼに葛根湯が効かないのか」──薬剤師に聞くその理由とは
[執筆者]
高垣育
薬剤師ライター。2001年薬剤師免許を取得。調剤薬局、医療専門広告代理店等の勤務を経て2012年にフリーランスライターとして独立。2017年国際中医専門員の認定を受ける。毎週100人ほどの患者さんと対話する薬剤師とライターのパラレルキャリアを続けている。愛犬のゴールデンレトリバーの介護体験をもとに書いた実用書「犬の介護に役立つ本」(山と渓谷社)の出版を契機に「人」だけではなく「動物」の医療、介護、健康に関わる取材・ライティングも行っている。