最新記事

インド

異例の熱波と水不足が続くインドで、女性が水を飲まない理由が悲しすぎる

2018年07月20日(金)18時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

「身の安全」と「健健」を天秤にかけ...

西部グジャラート州の最大都市アーメダバードで熱波の研究に取り組んでいた、米シンクタンクのランド・コーポレーションの研究員Gulrez Shah Azharは、熱波が原因で死亡するのは男性よりも女性の方がはるかに多いことに気付いた。Gulrezが言うには「意図的に脱水状態になることで、酷暑のなかで深刻な身体的トラブルを引き起こす危険性がある」

アーメダバードでは料理や掃除などの家事は女性の仕事とされるが、これでは健康を守ることなどできないという。

まず、「一般的に、屋内にいる女性は猛暑のリスクに晒されないと思われている」。そのうえ、一部の家庭ではずさんな電気供給のせいで、唯一の冷気の頼みの綱である天井のファンさえ当てにならない。また、屋内での調理は、室温を高める可能性もあるし、屋外の離れたところにある水汲み場と家を往復するのだって毎日の仕事だ。

ある女性は、「女としてまず、家事を終えなければならない」と言う。夏の間に、体の不調を自覚しながらも我慢していたら黄疸が出たそうだ。

バングラデシュのダッカ・トリビューン紙によれば、農村部に暮らす女性は、水汲みのために1日で5~20キロメートルの距離を歩く。家族のライフラインである水を絶やさないようにという重圧は相当なものだと伝えている。

ひどい熱波と水不足は、レイプに怯えトイレを控えて脱水状態に陥る女性達の健康をじりじりと追い詰めている。Gulrezは「女性を取り巻く衛生環境の問題に沈黙を続ける文化の行く先は『死』だ」、「長期的な解決策として、平等と女性の権利という課題への取り組みは絶対だ」と語った。

【参考記事】「トイレが欲しい!」 インドの貧しい少女が耐えきれずに取った行動とは...

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    「男性に守られるだけのヒロイン像」は絶滅?...韓ド…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 4

    韓国のキム・ジヨンに共感する、日本の佐藤裕子たち..…

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 1

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 2

    タンポンに有害物質が含まれている...鉛やヒ素を研究…

  • 3

    「ショート丈」流行ファッションが腰痛の原因に...医…

  • 4

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 5

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ヨルダン皇太子一家の「グリーティングカード流出」…

  • 2

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 3

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 4

    キャサリン妃の「結婚前からの大変身」が話題に...「…

  • 5

    韓国Z世代の人気ラッパー、イ・ヨンジが語った「Small …

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:トランプ新政権ガイド

特集:トランプ新政権ガイド

2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?