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感情をうまくコントロールできない子に育つ ヘリコプター・ペアレントは人のためならず?

2018年07月20日(金)17時25分
松丸さとみ

世話の焼きすぎは「虐待」とみる厳しい専門家も

結果は、2歳の調査時に世話を焼きすぎた親の子は、5歳の時に感情や行動のコントロールがうまくできないことが示された。一方で、5歳の時に感情のコントロールができた子は、10歳の時に情緒面での問題も少なく、ソーシャルスキルも高く、学校の成績もよかった。さらに、10歳までに衝動をうまく抑えられるようになった子は、情緒的・社会的な問題を経験することも少なく、学校の成績もそうでない子と比べて良いことがわかったという。

ペリー博士は今回の調査結果について、子供が感情をうまくコントロールできるようになるには、それをサポートするよう親を教育する必要があると述べた。博士は、親が子供に対し、さまざまな感情からどんな行動や結果が生まれるかを説明したり、感情のコントロールの方法(深呼吸、音楽を聞く、塗り絵をする、静かな場所へ移動するなど)を教えたりするといいと提案している。

英ウォーリック大学のディータ・ヴォルク教授は英紙ガーディアンに対し、親が世話を焼きすぎるのは子を思う気持ちからだとして理解を示しつつも、自分を律する能力を学ばないと成長した時に当人が苦労してしまうため、子供が学ぶ機会を奪ってしまうような育て方は「虐待のひとつの形」だと厳しい意見を述べている。

しかし今回の調査について、懐疑的な見方をする専門家も少なくない。

英バース大学のジャネット・グドール博士はガーディアンに対し、この調査が母親の行動をわずか6分間しか観察していない点を指摘。さらに、どこまで口を出したら「世話を焼きすぎ」になるのかの判断は難しい、と語った。「子供の生活環境がどれだけ危険かといった文化的な点も考慮に入れるべき」とも加えた。

またイースト・ロンドン大学のエヴァ・ロイド教授は英紙ザ・タイムズに対し、「心理学や社会福祉ではいつも母親が攻撃の対象になる」と話し、このような調査では母親の行動が影響している証拠にはならない上、父親を考慮に入れないのは不公平だと述べている。

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