感情をうまくコントロールできない子に育つ ヘリコプター・ペアレントは人のためならず?
世話の焼きすぎは「虐待」とみる専門家の意見も lostinbids-iStock
子供を思うがゆえの行動だけど......
「ヘリコプター・ペアレント」という言葉をご存知だろうか。我が子のことが心配で、学校でもどこでもまるでヘリコプターがホバリング(空中停止)するかのように子供につきまとう親のことだ。
もちろん子供への愛情ゆえの行為なのだろうが、このほど発表された調査によると、ヘリコプター・ペアレントに育てられた子供は感情をうまくコントロールできないらしいことが分かった。
ミネソタ大学ツインシティー校のニコール・ペリー博士らが422人の子供を対象に8年におよぶ追跡調査を行ったもので、結果はアメリカ心理学会の機関紙「デベロップメンタル・サイコロジー」(発達心理学)に発表された。
422人の子供を8年にわたり追跡
実験の概要はこうだ。2歳の子供と母親を研究室に招き、4分間にわたりさまざまなおもちゃで遊んでもらった。そしてその後2分間、おもちゃの片付けをしてもらった。この様子は記録され、研究者は母親がどの程度このタスクで子供の行動を指示しようとするかについて、1〜4で評価した。
ペリー博士によると、この時のヘリコプター・ペアレントの行動として観察されたものには、どのおもちゃで遊ぶかやどう遊ぶかを常に指示する、片付けの際に厳しい、などがあった。それに対する子供の反応はさまざまで、反抗的になったり、無感情だったり、イライラしたりがみられたという。
次に子供たちが5歳になったところで再び招き、今度はキャンディを使った実験を行った。実験者が自分と子供にキャンディを分けるのだが、明らかに自分を多く、子供を少なく分けた。さらに実験者は、子供の分も食べてしまった。このようなストレスに直面した時、ストレスを軽減させるために子供がいかにして社会的なスキルを発揮するかを0〜4で評価した。さらに、時間のプレッシャーのもとパズルを解くというタスクを与え、行動を評価した。
子供が5歳と10歳の時にペリー博士らはさらに、子供が通うそれぞれの学校の教師に対し、当該の子供が抱える問題(気分の落ち込み、心配性、孤立など)や学校の成績、教師から見た子供の社会スキルなどについて聞き取り調査を行った。
10歳の時はさらに子供本人に対し、学校や先生についてどう思うかと情緒面の問題について質問をした。