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有人月探査の中止で喜ぶのは誰?

2010年2月16日(火)12時07分
フレッド・グタール(サイエンス担当)

 予算削減の波は、ついに宇宙まで襲った。2月1日、オバマ米大統領はNASA(米航空宇宙局)の有人月探査計画の中止を発表。

 年内の打ち上げを最後に老朽化したスペースシャトルが引退した後は、アメリカ人宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)に向かう場合は、ロシアの宇宙船に同乗するか民間のロケットに乗ることになる。

 NASAのスペースシャトルは莫大な経費が掛かった上、安全ともいえなかった。オバマ政権は、スペースシャトルの後継機として開発中だった有人宇宙船「オリオン」とその打ち上げロケット「アレス1」の開発打ち切りを決めた。

 とはいえ、NASAが宇宙開発から完全に撤退するわけではない。今後は民間企業のロケット開発やロボットによる探査を支援する。将来的には有人による火星探査を視野に入れたロケットエンジンの開発も行うという。

 今回の発表に一番喜んだのは、ロケットを製造しているオービタル・サイエンシズやスペースXなどの民間企業。低コストのロボットを宇宙に送り込み、大きな成果を挙げてきた科学者たちも喜んでいる。彼らは昨年、乾燥地帯だと考えられてきた月に膨大な水が存在することを発見。国家の利益にはならないが、大きな一歩だ。

[2010年2月17日号掲載]

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