無駄な鉄道に突っ走るオバマ政権
フランスや日本とはまったく異なる
高速鉄道整備がヨーロッパやアジアで成功しても、アメリカではそうはいかない。確かに、人口密度が高い地域や国では、都心や商業地区を結ぶ鉄道が適している。日本では1平方マイルあたりの人口が880人、イギリスでは653人、ドイツでは611人、フランスでは259人だ。対照的に、広大な土地を有するアメリカでは住宅や職場、工場が郊外に散在している。1平方マイルあたりの人口は86人。多くの人々が暮らしたり働いたりしている場所から行きたいところまで、鉄道では移動できない。だが、自動車ならできる。
距離も問題だ。アメリカは国土が広く、移動距離が長い。600~700キロを超えると、高速鉄道は飛行機にかなわない。それにフランスや日本では自動車での移動に重い税金を課して、人々に鉄道の利用を奨励している。
高速鉄道の神話は間違っているだけでなく、反社会的でさえある。政府はすでに莫大な財政負担をかかえている。さらに無駄な補助が必要になれば、学校や警察、(そして皮肉なことに)公共交通機関といったより重要な案件への支出が減らされてしまう。高速鉄道は地元自治体の支出で整備されるべきで、必要な交通機関の優先順位を決めるべきなのは連邦政府ではなく、各州だ。
こんなことはアムトラックの例を見れば明白だ。それなのにアムトラックを正当化したのと同じ議論が、再び繰り返されている。オバマとバイデンは過去の失敗例を認識せず、国民の誤解に付け入るつもりだ。
成果の疑わしい支出を求める政権が将来的な税収や財政赤字への懸念を表明したところで、どれだけの説得力があるのだろうか。