最新記事

7割当たってる!?「猫語」翻訳AIアプリで、おうちのツンデレ姫とおしゃべりしよう

Can AI Talk “Cat”

2023年12月15日(金)08時17分
エル・ハント(ジャーナリスト)
「猫語」翻訳AIアプリ

猫は多様な鳴き声で意思表示をする上に、猫同士では276種の表情で思いを伝え合う GLOBALP/ISTOCK

<あなたが知りたい猫のホントの気持ち...猫が鳴き声やゴロゴロ音で伝えてくる内容をAIで解読する「にゃんトーク」が叶えてくれる...?>

わが家の猫と私の関係はペットと飼い主というより、凶悪犯とその人質に近い。

4歳のブラダは毎晩、私に抱かれてすやすや眠る。まるでテディベアみたいに。

ところが夜が明けるや、まだ街が寝静まっているうちに彼女は豹変。私の手足や首を所構わずかんで、ニャーニャー騒ぎまくる。

「怒鳴るのはやめて」と懇願しても無駄だ。

やむなく朝ご飯のキャットフードを与えると、途端に静かになる。

そのまま夕方近くまでお昼寝。目を覚ますとデスクに跳び乗って、パソコンの前に居座り、ペンやメモを片っ端から床に落とし始める。私が降参して、彼女に注意を向けるまで......。

ペットの飼い主のご多分に漏れず、私もブラダの「内面生活」(豊かなものに違いない)に興味津々だった。その態度が物語るように、彼女は私を下に見ているのだろうか。

猫を飼っている友人から「にゃんトーク」というアプリの話を聞いて、すぐに飛び付いた。猫の鳴き声を録音すると、30秒後に人間の言葉に翻訳してくれるという。

さほど期待していなかったが、数週間使ってみると、そこから浮かび上がったブラダの性質は私が推測していたものとほぼ一致していた。

「あなたなんか怖くない!」と、彼女は言っていた。

「戦闘開始だ。かかってこい!」とも。

この猫語翻訳アプリは、機械学習とAI(人工知能)を使って、猫のさまざまな鳴き声を処理し、食べ物を求める単純な要求から、交尾や狩りの欲求など「より複雑な」ニーズも読み解く。

頻繁に使うことで、個々の猫のボキャブラリー(ブラダの場合は戦闘宣言)をアプリに学習させることも可能だという。

ただ、その翻訳の精度は検証のしようがない。

ブラダの脅し文句が本当かどうか、どうやったら分かるだろう。

猫は「言語」を持つのか

このアプリを提供するミャオトーク社の共同創設者、シアトル在住のハビエル・サンチェスがオンラインで取材に応じてくれた。

「ご存じのとおり、猫には『十猫十色』の性格があり、それは彼らが発する声に表れる」

サンチェスはスウェーデンのルンド大学で猫と人間のコミュニケーションを研究するスザンヌ・シェッツ准教授の理論とその著書『猫語のひみつ』(邦訳・ハーパーコリンズ・ジャパン)に触発されてアプリを開発したという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

フィンランドも対人地雷禁止条約離脱へ、ロシアの脅威

ワールド

米USTR、インドの貿易障壁に懸念 輸入要件「煩雑

ワールド

米議会上院の調査小委員会、メタの中国市場参入問題を

ワールド

米関税措置、WTO協定との整合性に懸念=外務省幹部
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中