AIはもうここまで生活と仕事を変えた...いずれ奪われるこれほど多くの職種

LIFE-CHANGING AI

2023年6月15日(木)13時30分
デービッド・H・フリードマン(科学ジャーナリスト)

作品の質という意味では、AIは人間の脚本家の敵ではないとグッゲンハイムは言う。「AIの書く脚本は、えてして当たり障りがなくて面白みに欠ける」と彼は言う。「AIはどんどん改善されてはいる。だが、どんなに優れたAIにも決してまねできない『人間にしかできない何か』がなくなることはない」

もっと大きな問題は、求められる水準はそれほど高くないけれど、多くの書き手にとって収入のかなりの部分を占めるような仕事がAIに奪われてしまうことだ。例えば台本の修正や下書き、ゲームやリアリティー番組の脚本の執筆、テレビ番組のノベライズといった仕事だ。

「明日の番組のために一晩で台本を書き直してほしいといった場合に、ディレクターがチャットGPTに頼んでしまうかもしれない」とグッゲンハイムは言う。

とはいえ、脚本家にとって悪いことばかりではない。近い将来、脚本をAIに読み込ませるだけでテレビ番組や映画を作ることができるようになるかもしれないからだ。プロデューサーもディレクターも俳優も必要ない。「AIは既に、書かれた記述を基にかなり出来のいい動画を作れるようになっている」とグッゲンハイムは言う。

もう1つ、AIに奪われると懸念されているのが、アプリやウェブサイトなどのコードを書く仕事だ。「少なくとも、初心者レベルのコーディングの仕事はチャットGPTの影響を大きく受ける可能性がある」と、フロリダ大学のチアンは言う。

もっとも、失業を心配する必要はないと彼は言う。業界では人手不足が続いている上、AIのコーディングツールをきちんと動かすには人の手が欠かせないからだ。ある研究によれば、AIツールを人間と一緒に活用した場合にコーディングに必要な時間は、人間だけの時に比べて55%も短くなるという。

AIツールが技術的でない指示をもっと理解できるようになれば、未経験者でもスマホ用アプリや業務用のパソコン用プログラムを書けるようになるだろう。「AIはソフトウエア開発者になるハードルを低くした」とフォレスターのカランは言う。プロの開発者は、AIだけでは手に負えないような高度なソフトウエア開発を担うようになると彼は言う。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ECB総裁が任期満了前に退任とFT報道、仏大統領在

ワールド

ウクライナ和平協議、2日目は2時間で終了 「困難な

ビジネス

英CPI、1月は前年比+3.0% 昨年3月以来の低

ワールド

エプスタイン文書、米エリートへの不信鮮明に=世論調
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 2
    ポーランドが「核武装」に意欲、NATO諸国も米国の核の傘を信用できず
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 7
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    極超音速ミサイルが通常戦力化する世界では、グリー…
  • 10
    生き返ったワグネルの「影」、NATO内部に浸透か
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中