ファーウェイ制裁の不透明な真実、グーグルはNGだがマイクロソフトはOK?
筆者のファーウェイ・スマホからでもGmailは読めるし、YouTubeは見られる。でも、パスワードを連携させたり、スマホで見ているサイトをパソコンの大画面に表示させたりといった、かゆいところに手が届くナイスな機能はことごとく使えない。
特に難儀したのはパスワードだ。電子版の新聞やショッピングサイトなど、ログインが必要なサイトはごまんとある。グーグル以外のサービスを使えば、パソコンとスマホの連動もできるかもしれないが、グーグルに依存しきった身としてはなかなかに難しい決断だ。
米政府の制裁に一貫したロジックがない
というわけで、「グーグルが使えない」という重しがどこまでものしかかっているのだが、一方で「グーグル以外の制裁」についてはかなりゆるみまくっている点も印象的だった。
そもそも、現在ファーウェイに科されている制裁は何かをおさらいをしておこう。原則的には「米国企業からの部品、サービスは購入ができない」「米国で開発された技術を一定以上含む部品、サービスは購入できない」というものである。
2019年にこの規制が科されると、ファーウェイは「売ってもらえないならば自社で作るまで」と、どんどん自社開発を進めた。意気高揚だったわけだが、2020年の新たな規制で局面が変わる。
というのも、ファーウェイの自社開発とは、ファーウェイで設計して半導体世界大手、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)に量産してもらうというものだったのだが、新たな規制でTSMCの受託製造が禁止されたのだ。TSMCと同レベルの仕事ができるのは韓国サムスン電子だけだが、アメリカの目が光る中、こちらもファーウェイの仕事は受けられない。
外から買ってこられない、自社開発もダメとなると、もうどうしようもないように思える。ところがどっこい、ファーウェイはまだ生きていて、記事冒頭で紹介したように、日本市場で新製品を一挙リリースまでやっている。
いったい何が起きているのか? 実は規制には米政府の承認が得られれば輸出は許可されるという抜け道があり、一周回って普通に米国企業、日本企業から普通に部品が買えるようになっているのだ。
そこには米企業などファーウェイのサプライヤーが強く輸出許可を求めたことが背景にある。ファーウェイへの販売が禁止されれば、中長期的には代替部品を作る中国メーカーが成長し、米企業のシェア低下に繋がるとの危機感が広がったためだ。
現在では「モデムなど5G関連の部品」「グーグルのサービス」「ファーウェイが設計した半導体部品の受託製造」など、ピンポイントな部品以外は普通に購入できているようだ。