ママたちの不安を知る、型破りな保育園経営者(3/3)
Story of a Chinese Woman Living in Japan, Part. 3
日本人の先生が教えるので、子どもたちの日本語は大きく向上し、日本の親も満足しています。でも中国語は、日本の親にはわからないので子どもたちの進歩が感じられないでしょう。それでも私たちは中国語を教えます。子どもたちの話す中国語は、本当にすごいですよ。ママが聞き取れないだけなのです。私たちはいま、日本のママ向けの中国語のレッスンを考えています。今後は、日本のママが子連れで中国に行くツアーの計画も。そのとき子どもは中国語が発揮できます。ママに中国語レベルの高さを知ってもらうのもいいでしょう。
中国の国学の古典である『弟子規』『三字経』なども教えています。『論語』はまだ教えていませんが、計画中です。そして毎年クリスマスパーティーの席で、その1年間の教育内容や達成した目標について、ママたちに報告しているのです。
中国で老人ホームを開くのが夢
私は、中国で老人ホームを開きたいと思っています。小さいころから母方の祖母に育てられましたが、日本に来て10数年、祖母に孝行したいと思ったときにはチャンスがなかった。この世を去ってしまったからです。祖母に何もしてあげられず、本当に後悔しています。
数年前に帰国して、多くの老人ホームを見学しました。条件は理想的なものではなかった。子どもが身近にいないので、お年寄りは非常に孤独を感じています。とくに一人っ子政策をとる中国では、1人の子どもに2人のお年寄り〔親〕がいることになりますが、子どもはなかなかお年寄りにつきそえません。お年寄りの晩年はとてもさみしくなるのです。
実はこの問題も解決は難しくありません。自分の子であれ、他人の子であれ、子どもが身近にいさえすれば、暮らしは豊かになります。私はふるさと寧波に、よい条件の老人ホームを開きたい。日本の老人ホームの設備、人材などすぐれた部分を中国に導入し、老人ホームと幼稚園(保育園)をいっしょに経営したいと考えています。
建物の前方を老人ホームに、後方を幼稚園にします。老人ホームでは入居者が野菜や花を育てたり、隣の幼稚園の歌声や笑い声を耳にしたり。時には子どもたちがおじいさん、おばあさんに歌やダンスを披露する。いっしょに遊ぶこともできます。こうすればお年寄りは健康的で、楽しくいられ、認知症も減ることでしょう。寧波のこのモデルケースが成功すれば、北京、上海、大連の3カ所でもこうした老人ホームを経営するつもりです。
人生、何のために生きるのか。私の考えと目標は、自分の死ぬ間際に多くの人に見守ってもらうことです。一生のうちにたくさんのことをして、みんなに認めてもらいたい。一家が栄え、家庭は円満で、友人が多い。そうであれば私は安心して旅立つことができます。
現在、東京の各園にはそれぞれ園長がいて、本社は池袋にあります。本社のスタッフは約6人で、経理、人事、企画、経営などの担当者がいる。これからは私が必要とされないことを望んでいます。暇を作って中国へ帰り、ふるさとに貢献したい。在日18年になるので、そろそろ中国のために何かやる時期だと考えています。