ママたちの不安を知る、型破りな保育園経営者(3/3)
Story of a Chinese Woman Living in Japan, Part. 3
日本の公立保育園の多くは、ママへの教育を主としています。でも私は、ママがうれしくて幸せでありさえすれば、子どももきっと幸せだと考えます。シングルマザーに一息入れる暇をあげたら、子どものためにもっと素敵なパパを探せる。そうしたら、全員そろった円満な家庭に変えられるのです。
私もそうでした。最初の日本人の夫とは結局離婚して、自分の子どもを育てながら保育園の子どもたちを見ていました。私にも、安心できるスペースと、息子のためにいいパパを探すことが求められていた。一家にはパパの存在がなければならないのです。現在の夫も日本人で、人柄もいい。いまはとても幸せです。再婚してから2人の子にも恵まれました。最初の息子も、私たちといっしょに幸せに暮らしています。
日本の長所で中国の短所を補う教育
日本の保育園にも、多くの長所があります。たとえば幼少期から、人に接するときの態度、マナー、自分でできることは自分でやること、相手の気持ちを理解することなどを子どもに教えます。中国の子どもがなかなか学べないことです。いま中国では、多くの子どもが過保護に育ち、勉強ができれば何もしなくていいとされています。衣服を着るには手を伸ばせばよく、ご飯を食べるには口を開ければいい、という状況です。2人のおじいさん、2人のおばあさんが1人の孫を甘やかしているのです。そこで私たちの保育園も、日本の保育園のいいところを取り入れています。
幼少期の子どもは、大木の根っこのようなものです。この根っこがしっかりしていなければ、その木は若死にしてしまう。根っことはつまり道徳教育です。道徳は、子どもにとって学業よりも重要なのです。
私たちの保育園ではまず、子どもたちの道徳面を育てます。たとえば、ボランティアや環境保護の活動に参加させる。また感情をいかにコントロールするかなどは、だいたい1歳半から教えます。中国の幼稚園は、小さいころから唐詩、算数、ピンイン〔中国語のローマ字による発音表記〕といった多くの知識を教えますが、私たちは異なります。
保育の基本は人間の基本的な行動規範であり、保育の段階でその根をおろさなければなりません。そこで3歳になる前に、私たちは遊びの中で行動規範やセルフケアの能力を学ばせます。この点は、日本の保育園と同じです。3歳になればしっかりと根を張って、正しいことと間違ったこと、物事の白黒がわかります。それから教育をスタートさせるのです。
私たちの教育は、日本の保育園よりも充実しています。日本の保育園は基本的に遊びを中心としていますが、私たちの保育園では、遊びの中で本当の教育をする。遊びの中で漢字やピンイン、10以下の数の合成・分解などを教えるのです。