「お世話になっております」...毎度使っていませんか? センスがいい人の心の距離を縮める言葉の極意
【「分厚い書類=仕事ができる」ではない】
編集部の管理職の方が、こう嘆いていたことがありました。
「新人編集者に、本のタイトルを考えてくるように言ったら、『30個考えました!』って、分厚い書類を自信満々で持ってきたんだけど、使えるものが1個もない。分厚い書類=がんばっている自分、と子供みたいにアピールしたいのよね」
上司からすると、書類を読むのも、選ぶのもたいへん。「これはいい!」と感じるタイトルが2、3個あればじゅうぶんで、書類は数行で済むことなのです。
役所や企業、学校などの会議に参加することがありますが、一見、ちゃんとした組織ほど、会議の書類が膨大で、それを説明するスピーチも長い。専門用語で長々としゃべられてもこちらの理解が追いつかず、「この会議は一体、なんのためにやっているのか」とわからなくなることさえあります。
なにより、省エネの観点からも非効率。紙は意外に重く、持って帰るのも、保管するのもかさばるわけです。
【「A4用紙1枚」にすべてを詰め込む】
書類の枚数が多い、話が長いというのは、センスのなさの象徴でしょう。「自分が伝えたいこと」をあれもこれもと盛り込むから話は膨らみ、脱線していくのです。
できる人の書類は、大抵「A4用紙1枚」。企画書、報告書、資料など「1枚」という制約があるがゆえに、まず「だれのため、なんのための1枚か」を考えます。「相手が知りたいこと」だけを伝えようと、資料もスピーチも構成します。
受け取る側は「できれば簡単に私の知りたいことを教えて!」と望んでいるのです。
とにかく「A4用紙1枚にまとめる」を繰り返していると、ほかの仕事も「だれのため、なんのため」から考えるようになり、時間をかけるべきことと、捨ててもいいことがわかるようになります。自分の時間だけでなく、仕事相手の時間も労力も節約することになります。
センスというのは「なんでも自由に」ではなく、なにかの制約や目的があるからこそ方向が明確になり、研ぎ澄まされていくのです。