最新記事
幸福論

良い大学を出て立派な職業に就いても「幸せとは限らない」...10代に伝えたい令和を生きる道しるべ

2024年6月10日(月)10時23分
肘井 学(スタディサプリ講師)*PRESIDENT Onlineからの転載

結婚しても、子どもが生まれてもそうです。あれだけ欲したパートナーや家族であっても、人間は、気づいたらその状態に慣れて、感謝の気持ちを忘れてしまう傲慢な生き物なのです。

では、どうやってこの不幸な状態から脱したらよいのでしょうか。

本当は幸せにもかかわらずその状態に慣れて、当たり前だと思ってしまう傲慢さを打ち破る唯一の方法は、今の有り難さに気づくことです。

「ありがとう」という言葉はもともと「有り難い」、すなわち、相手からしてもらったことがめったにない、有り難いものであることを由来としています。今あるものに目を向けてみてください。

それらのものは、あなたにとって当たり前ですか?

【「大切な存在」がいるのは当たり前ではない】

当たり前のようにいてくれる、親、兄弟、子ども、パートナー、恋人などの存在は、じつは当たり前ではありません。一人ひとりの存在がいなくなった状態を想像してみてください。

今一瞬だけを考えると、目の前からいなくなってせいせいするような人もいるかもしれません。しかし、長い目で見ると、ほとんどの人が、あなたを何らかの形で助けてくれて、サポートしてくれる存在であることでしょう。

今、あなたが子どもの立場ならば、親が命がけで産み、育ててくれたおかげで、あなたは子どもでいられます。親ならば親で、子どもがいてくれてはじめて親になることができます。

お兄ちゃんなら、弟がいてくれてはじめてお兄ちゃんになれます。弟なら、お兄ちゃんがいてはじめて弟になれる。夫なら妻がいて、妻なら夫がいて、世の中はそうやって回っています。

これから生きていくにあたって、今ある幸せに気づく力を忘れないでください。たとえば、地方で生まれ育ち、第1志望の大学に受かって上京すると、しばらくはその幸せに浸れることでしょう。

しかし、気づいたらその状態に慣れて、当たり前に思ってしまいます。その傲慢さを打ち破るためには、今の幸せに気づいて、その幸せをかみしめるのです。

立派な職業に就いても、お金持ちになっても、「初心忘るべからず」と言われるように、最初のわくわくしていたころを思い出して、今ある幸せに気づく力を大切にしてください。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総

ワールド

トランプ氏、マムダニ次期NY市長と初会談 「多くの

ワールド

ウ大統領、和平案巡り「困難な選択」 トランプ氏27
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 8
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中