最新記事
健康ライフ

休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽しく疲れをとる方法

2024年5月8日(水)13時51分
片野 秀樹 (博士(医学)、日本リカバリー協会代表理事) *東洋経済オンラインからの転載

それはお湯につかって体を外側から温めることで、血行がうながされるからです。もう少し詳しくいえば、血液の流れとともに老廃物が除去されて、酸素と栄養が細胞に届けられるからです。

それだけではありません。浴槽にためたお湯につかると水圧がかかります。

 

先日、私は温泉の学会に出席しましたが、そこで得た情報によれば、お風呂のお湯につかることで体にかかる水圧は、体全体で計算すると350kgにもなるそうです。

350kgもの水圧が体中の皮膚を軽微に圧迫している状態になると、特に足のつま先のように血液やリンパが滞りがちなところがキュッと押されます。そうするとその押し上げられた老廃物が心臓や肺に戻っていきます。これはマッサージと同じ効果です。

【お風呂の水圧が休養になる】

伸縮性の強い生地で編まれた「着圧ソックス」や「着圧タイツ」がドラッグストアなどで市販されていますが、これなどはまさにお風呂に入ったときのような効果を狙ったものといえるでしょう。

本来であれば脚のふくらはぎの筋肉が、足にたまった血液を心臓に戻すのですが、筋肉は午後になると疲れて筋力が落ちてきます。そのため重力の影響で心臓からいちばん遠い足に血液が滞ってしまう。そうするとそこが血液で膨らんできます。いわゆる「むくみ」という状態です。

これを心臓まで戻すためには脚のふくらはぎが活躍します。足首を上下に動かすと、ふくらはぎが緊張して、弛緩して、緊張して、弛緩してという動きを繰り返します。このときふくらはぎの筋肉は、血管を絞って、広げて、絞って、広げています。

これを「ミルキングアクション」といいます。ミルキングとは牛の乳しぼりのことです。リズミカルに血管を刺激することで、足にたまっていた血液が心臓まで戻ってきます。ふくらはぎが「第2の心臓」といわれるゆえんです。

これと同じように、お風呂に入ると水圧がかかるので、一カ所にとどまっていた血液が心臓に押し返されます。そのため血行がよくなり疲れがとれるのです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アマゾン、3年ぶり米ドル建て社債発行 150億ドル

ビジネス

ドイツ銀、28年にROE13%超目標 中期経営計画

ビジネス

米建設支出、8月は前月比0.2%増 7月から予想外

ビジネス

カナダCPI、10月は前年比+2.2%に鈍化 ガソ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 7
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 8
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 9
    経営・管理ビザの値上げで、中国人の「日本夢」が消…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中