ステージ4のがんが劇的寛解 ストレスや怖れから解放されると治癒能力が高まる
感情を解放するグループワーク
抑圧された感情を解放するためのテクニックのどれもが、すべての人に効くわけではありません。人はそれぞれ、抑圧された感情を解放する独自の方法を見つけます。
たとえば、瞑想やMBSR、タッピングのクラスに参加したり、枕をパンチしたり、ドラムを叩いたりする人もいます。中には、グループでいると感情を解放しやすいという人もいます。メンタルヘルスの改善のために音楽を介したコミュニティを考案する団体も増えています。
ある研究グループは、そのような音楽療法に測定可能な心理的または生理学的な効果があるかどうかについて調べました。
この研究では、参加者は10週間にわたるドラム演奏のグループコースに週1回参加しました。研究者たちは、ほかの社会的活動に毎週1回参加するけれど音楽には参加していない対照群と比較して、このコースがうつ病、不安、社会的回復力の症状を改善できるかどうかを確認したかったのです(※7)。
驚くべきことに、ドラムを演奏したグループでは、わずか6週間で3つの感情指標すべてにおいて著しい改善が見られましたが、対照群には見られませんでした。さらに、その効果は、ドラム演奏のグループコースが終了したあとも3カ月間持続したのです。
研究をさらに進めるために、研究者らは参加者の唾液のサンプルを分析し、グループのドラム演奏コースが身体的な変化をもたらすかどうかを調べました。参加者のコルチゾールとサイトカイン(炎症を抑える免疫細胞のタンパク質)の値を測定したところ、10週間のグループドラム演奏コースのあと、参加者のストレスと炎症の値が大幅に減少したことを発見しました。
これらは両方とも、免疫システムを強化したい人にとってはいいニュースです。心理的、生理的なメリットに加え、この研究では、ドラム演奏がグループの中でおこなわれたため、社会的サポートという治癒要因も組み込まれています。将来の研究で、参加者がグループではなく、マンツーマンのレッスンでドラムを習った場合に、そのようなポジティブな結果を経験するかどうかを見るのは興味深いでしょう。
ステージ4の盲腸がんサバイバーが気づいたこと
抑圧された感情を、ドラムをはじめさまざまな方法で解放しようと試みてきた劇的寛解者の一人が、シカゴ出身のカーリン・マーレイです。盲腸がんサバイバーのカーリンは、20年以上にわたって心と身体、精神のつながりを研究してきました。
診断されるまでの1年間に、カーリンはつらい離婚を経験し、破産を申請し、重度のパーキンソン病と認知症に苦しむ年老いた母親の世話をするために引っ越さなければなりませんでした。当時22歳と20歳だった2人の子どもたちは、家を出て大学に通っていました。この極めて過酷な1年半のあと、カーリンは2013年にステージ4の盲腸がんと診断されたのです。
カーリンの治療は、腹部の臓器を圧迫していた15ポンド(約7キログラム)の腫瘍を取り除くための緊急手術からはじまりました。カーリンは自然治癒を試してもいいかと聞きましたが、医師はがんが進行しすぎているので、すぐに処置をする必要があると言いました。
カーリンは3カ月で4回の化学療法を受け、その後12時間の腹腔内温熱科学療法(HIPEC)の手術を受けることに同意。さらに、彼女は抑圧された感情を解放することが重要な要因であると気づきましたが、10の劇的寛解の治癒要因をすべて受け入れました。
従来の治療のあとの数年にわたる治療の間、カーリンは多くのエネルギー療法士と一緒に取り組みました。
「私は専門家とともに、がん診断の際についてくる感情の中心に"恥"があることを突き止めました!
この気づきによって、私は自分自身を見つめ直し、どのように自身をケアしていたかを確認することができました。自分自身が後回しになっていて、消耗していたのです。
私はほかの人のために与える人であり、介護者であり、母親であり、神聖な空間を保持する人でした。私はほかの人を世話するように自分自身を愛し、育てることを学ばなければいけなかったのです。私は自分自身に徹底的なセルフケアと自己愛を与え、古いパターンを壊し、子どもを愛するように自分自身を愛さなければなりませんでした」