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2023年7月3日(月)18時08分

「ジャーナリング」は幸福感、免疫力、就職率に効果

Q.いろいろ気になって、寝付けないときは......

布団に入ったはいいけれど、気になることが次々と浮かんできて、なんだか眠れない。

そんなときは、布団から抜け出して「ジャーナリング」をやってみましょう。

「書く瞑想(めいそう)」とも呼ばれるジャーナリングでは、頭の中に浮かんだことを一気に紙に書き出していきます。気になっていることや、わけのわからないモヤモヤを、紙の上に書き出すことで、頭や心がスッキリして、気持ちが軽くなるんです。

その効果は驚くべきもので、幸福感がアップしたり、免疫力が上がったりする他に、なんと就職率が上がったというデータまであります。

テキサス大学の社会心理学者、ジェームズ・ペネベイカー教授は、次のような調査を行いました。

ひとつめは、失業者を対象にした調査です。

失業中の被験者に、毎日20分間のジャーナリングを5日間連続でやってもらいました。その後の追跡調査で8カ月後の就職率を調べたところ、同じような失業者でジャーナリングをしなかった人たちに比べて、被験者の就職率は40%も高かったのです。どうやらジャーナリングを行った失業者は、頭の中のモヤモヤを書き出してそのつどスッキリすることで、ストレスフルな就職活動を乗り切れたようです。

さらに教授は別の調査を行い、被験者を、①感情的に大きな影響を受けたできごとを書いてもらうグループと、②感情とは関係のない日常的なできごとを書いてもらうグループに分けました。

各グループに20分ずつ3日間、書くことを続けてもらった結果、①の感情的に大きな影響を受けたできごとを書いてもらったグループは、心身の健康が大幅に向上したのです。

しかも、数カ月経っても、血圧の低下、免疫機能アップ、通院回数の減少、幸福感の高まりが続いたと言います。

最初は3分程度から始めるとストレスにならない

さて、そんなすばらしい効果を持つジャーナリング。

どうやるかというと、ノートとペンを用意して、3~15分間、頭に浮かんだことを、手を止めずにひたすら書き続けるだけです。

書くときのポイントは、ペンを動かす手をとにかく止めないこと。

柳川由美子『不安な自分を救う方法』(かんき出版)書くことが思い浮かばないときも、「書くことがない、書くことがない、何も思い浮かばない、何かないかな......」と頭の中の思考をそのまま書き出します。

しばらくすると、「......なんだか、お腹が減ってきたかも」「自分と向き合ってる私、えらくない?」など、再び思考が始まるので、それらもすべて書き出していきます。

最初は3分程度から始めて、書けるようになったら、少しずつ時間を延ばしていくと、ストレスになりません。

続けて15分、書き続けられるようになるまで、ぜひ続けてみてください。

そのころには、胸にモヤモヤが溜まりにくいあなたになっているはずです。

パートナーとの関係で悩んでいたある女性の相談者さんは、長い間、不眠で苦しんでいましたが、ジャーナリングで頭の中のモヤモヤを書き出し始めて3日目には、自然に眠れるようになりました。

A.ジャーナリングでモヤモヤを書き出す。

柳川 由美子(やながわ・ゆみこ)

公認心理師
臨床心理士、産業カウンセラー、不安専門カウンセラー。鎌倉女子大学児童学部子ども心理学科卒業。東海大学大学院前期博士課程(文学研究科コミュニケーション学専攻臨床心理学系)修了。義母の末期がんの看病をきっかけにピアノ教師からカウンセラーを志し、自身の不安症の克服経験から、大学院等で「脳は心を解き明かせるか」「脳から見た生涯発達と心の統合」を学ぶ。2005年より大学やメンタルクリニック、企業研修などの活動を開始し、現在は「メディカルスパ西鎌倉」「メディカルスパみなとみらい」でカウンセリングを行う。1万回以上の個人セッション経験を通して相談者の共通パターンを発見。独自メソッドで解決に導いている。著書に『晴れないココロが軽くなる本』(フォレスト出版)、『不安な自分を救う方法』(かんき出版)。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
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