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血糖値を下げ、腸内フローラを整え、老化を防ぐ健康食品「ヨーグルト」 唯一気をつけるべきこととは?

2023年6月5日(月)19時25分
笹井 恵里子(ジャーナリスト) *PRESIDENT Onlineからの転載

固形から液体にすると血糖値上昇を招きやすい

また、重要な注意点がある。ヨーグルトが美容健康に良いのはわかっていても、毎日食するのは大変だからと「飲むタイプのヨーグルト」を選んではいないだろうか。前回で紹介した野菜ジュース・果物ジュースのように、ヨーグルトもまた固形から液体にすることで糖質の吸収効率が高まり、血糖値上昇を招きやすい。

「固形」と「ドリンクタイプ」の栄養成分を比較する(表参照)。

図表3 ヨーグルトの栄養成分の違い

炭水化物は主に「糖質と食物繊維」から構成されるため、ここでは炭水化物の量をチェックすると、固形ヨーグルトと比べてドリンクタイプは約3倍近くの量である。特にドリンクタイプのヨーグルトには「ぶどう糖果糖液糖」など液体の糖類も添加されている可能性が高いので、パッケージに記される「原材料名」で確認を。それならプレーン、つまり無糖ヨーグルトのドリンクタイプであればいいかというと、それは違う。どんなヨーグルトにも糖質は含まれ、それを液状で取ることに問題があるのだ。

健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子氏が補足する。

「糖質量は砂糖由来だけではなく、プレーン(無糖)でも糖質はあり、血糖値は上がります。原料の牛乳にも100gあたり4.8gの糖質が入っているのです。また、下表では100gあたりの糖質量の比較ですが、ヨーグルトは1回に食べる量が50gくらいですので上記の半分の糖質量で済み、飲むヨーグルトの場合、コップ1杯(200g)程度ですので倍の24gの糖質量を一気に取ることになってしまいます。ですから固形ヨーグルトを食べるのが最も健康に良いでしょう」

健康維持のために飲むのも避けたほうがいい

ドリンクタイプは手軽さ、飲みやすさがメリットだが、野菜果物ジュースと同様に「消化」が必要ないため、胃を通りこして瞬時に腸に入って血糖値を急上昇させる。現在、糖尿病などの生活習慣病を患う人はもちろん、健康維持のために飲むのも避けたほうがいい。八木氏らによる「ヨーグルト摂取が食後血糖値を下げる」研究でも、プレーンタイプの固形ヨーグルトを使用している。

栄養学的にもプレーンの固形ヨーグルトにフルーツを補う食べ方が最強だ。

「ヨーグルトはタンパク質、ビタミンA、B、D、カルシウムなどさまざまな栄養素が含まれていて"完全食"に近いです。足りないのは食物繊維とビタミンCぐらいですが、これもキウイやバナナなどの果物を加えることで補えます。良い働きをする菌を増殖し、元気にさせる成分をプレバイオティクスといい、その代表がオリゴ糖と食物繊維。キウイもバナナもオリゴ糖と食物繊維を共に含むので、プレーンヨーグルトにどちらかをプラスすればパーフェクトな一品になります」(望月氏)

ヨーグルトは朝食後に取ると腸の刺激となって、その後に腸が活発に働けることがわかっている。体温を上げるサポートにもなるという。一方で皮膚の生成を促す美容のためなら、夕食後に。夜に分泌される成長ホルモンの材料となるからだ。自分が求める機能をもつヨーグルトを、タイミングを意識して摂取してほしい。


図表4 100gあたりの糖質量の比較

笹井 恵里子(ささい・えりこ)

ジャーナリスト
1978年生まれ。「サンデー毎日」記者を経て、2018年よりフリーランスに。著書に『週刊文春 老けない最強食』(文藝春秋)、『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)、『室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる』(光文社新書)、プレジデントオンラインでの人気連載「こんな家に住んでいると人は死にます」に加筆した『潜入・ゴミ屋敷 孤立社会が生む新しい病』(中公新書ラクレ)など。新著に、『実録・家で死ぬ 在宅医療の理想と現実』(中公新書ラクレ)がある。ニッポン放送「ドクターズボイス 根拠ある健康医療情報に迫る」でパーソナリティを務める。 過去放送分は、番組HPより聴取可能。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
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