犬は人の表情を読んでいる──あなたが愛犬に愛されているかは「目」でわかる
FOR THE LOVE OF DOG
前述の指差し実験の続きで、いったん飼い主には部屋を出てもらい、その間に食べ物を別の容器に隠した(犬にはその様子を見せる)。そして戻ってきた飼い主に、食べ物の入っている容器を探してもらった。
すると犬は、食べ物の入っている容器と飼い主の間を行ったり来たりし、あるいは目で合図して知らせようとする行動を取ったという。
「天才」犬は本当にいる?
吠えることも、犬には有効なコミュニケーション手段だ。ミクローシはハンガリー原産の牧羊犬ムーディーを使った実験で、さまざまな場面での吠え声を録音した。犬同士で遊んでいるとき、餌をもらえそうなとき、侵入者に遭遇したとき、などだ。
そして録音した声を飼い主などに聞かせ、どんな場面かを推測してもらった。すると、およそ3回に1回は正しい答えが返ってきたという。
TikTok(ティックトック)でフォロワー数800万人を誇る犬がいる。交配種シーパドゥードルのバニーだ。バニーは、「散歩」といった特定の単語に関連付けられたボタンを押して自分のニーズや欲求を表現している──ように見える。
たわいないネタに思えるかもしれないが、犬にどの程度の理解力があるのか、なぜ一部の犬は他の犬より理解力があるのかという問題は現在、最もホットな研究テーマの1つだ。
きっかけは10年ほど前、チェイサーという名の極めて賢いボーダーコリーが見つかったことだった。
サウスカロライナ州ウォフォード大学の行動心理学者ジョン・ピリーはチェイサーを訓練し、1022個のおもちゃを名前で識別し、持ってこられるようにした。
チェイサーはまた、「pull(引っ張る)」や「fetch(取ってくる)」など、要求した動作を表す動詞を識別することもできた。
では、一度も名前を教えていないおもちゃの名を出し、それを持ってくるよう命じたら、どうなるか。それでもチェイサーは消去法で、つまり自分の知っているおもちゃを排除し、残った1つを正しく特定している──ように見えた。