犬は人の表情を読んでいる──あなたが愛犬に愛されているかは「目」でわかる

FOR THE LOVE OF DOG

2023年5月25日(木)14時55分
アダム・ピョーレ(ジャーナリスト)

230530p18NW_SGK_09.jpg

FLASHPOP/GETTY IMAGES

前述の指差し実験の続きで、いったん飼い主には部屋を出てもらい、その間に食べ物を別の容器に隠した(犬にはその様子を見せる)。そして戻ってきた飼い主に、食べ物の入っている容器を探してもらった。

すると犬は、食べ物の入っている容器と飼い主の間を行ったり来たりし、あるいは目で合図して知らせようとする行動を取ったという。

「天才」犬は本当にいる?

吠えることも、犬には有効なコミュニケーション手段だ。ミクローシはハンガリー原産の牧羊犬ムーディーを使った実験で、さまざまな場面での吠え声を録音した。犬同士で遊んでいるとき、餌をもらえそうなとき、侵入者に遭遇したとき、などだ。

そして録音した声を飼い主などに聞かせ、どんな場面かを推測してもらった。すると、およそ3回に1回は正しい答えが返ってきたという。

TikTok(ティックトック)でフォロワー数800万人を誇る犬がいる。交配種シーパドゥードルのバニーだ。バニーは、「散歩」といった特定の単語に関連付けられたボタンを押して自分のニーズや欲求を表現している──ように見える。

たわいないネタに思えるかもしれないが、犬にどの程度の理解力があるのか、なぜ一部の犬は他の犬より理解力があるのかという問題は現在、最もホットな研究テーマの1つだ。

きっかけは10年ほど前、チェイサーという名の極めて賢いボーダーコリーが見つかったことだった。

サウスカロライナ州ウォフォード大学の行動心理学者ジョン・ピリーはチェイサーを訓練し、1022個のおもちゃを名前で識別し、持ってこられるようにした。

チェイサーはまた、「pull(引っ張る)」や「fetch(取ってくる)」など、要求した動作を表す動詞を識別することもできた。

では、一度も名前を教えていないおもちゃの名を出し、それを持ってくるよう命じたら、どうなるか。それでもチェイサーは消去法で、つまり自分の知っているおもちゃを排除し、残った1つを正しく特定している──ように見えた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ大統領、来週にもBBCを提訴 恣意的編集巡

ビジネス

訂正-カンザスシティー連銀総裁、12月FOMCでも

ビジネス

米バークシャー、アルファベット株43億ドル取得 ア

ワールド

焦点:社会の「自由化」進むイラン、水面下で反体制派
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 5
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 6
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 7
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 8
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 9
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 10
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中