最新記事

その野菜・果物ジュース、菓子パンよりカラダに悪いかも!? 医者が「ジュースは消化機能を無視した食品」と警告する理由とは

2023年5月22日(月)19時25分
笹井 恵里子(ジャーナリスト) *PRESIDENT Onlineからの転載

ジュースにすることで「食物繊維」が失われる

しかし、この素晴らしい効果がジュースにした途端、打ち消される。原因の一つは「食物繊維」が失われてしまうことだ。野菜や果物に含まれる食物繊維には、健康を維持する多彩な働きがある。それがジュースにすることで、繊維が壊れて台無しになってしまうのだ。

「果物はジュースに加工されると、なんと食物繊維の80%が失われるといわれています。そのまま食べれば糖分の吸収を和らげるのに、ジュースにした途端、吸収効率が高まり、食後の血糖値上昇につながってしまうのです。10年以上前の論文になりますが、『BMJ』で発表された研究で、果物を丸ごと食べた場合とフルーツジュースとで糖尿病の発症リスクを比較しています。するとフルーツジュースでは糖尿病の発症リスクが8%上昇しているのです。どれくらいからリスクが上がりだすかというと、1週間で3杯程度から。つまり1日に換算すればコップ半杯です」(山岸教授)

また野菜や果物に含まれている糖分の吸収効率も問題だ。AGE牧田クリニック院長の牧田善二医師は「ジュース類は、人の消化や吸収機能を無視して作られた飲み物」と指摘する。

「必要な時にインスリンが出せない=糖尿病」になる

「食べ物が胃に入ると、炭水化物なら3時間、脂肪なら7時間ほどかけて消化されます。ドロドロになったものが腸に送られ、ゆっくりと体に吸収されるのです。ところが液体に消化は必要ありません。ジュースは胃を通り越して一気に腸に入ってしまいます。血糖値が急上昇し、血管の内皮が傷ついて、やがて血管が硬くなってしまいます。野菜や果物ジュースより清涼飲料水のほうがたくさんの糖質を含んでいますから、悪性度が高い。しかし、野菜や果物ジュースはみなさんが"体にいいから"と信じて飲んでいることがやっかいなのです」

人の空腹時血糖値はだいたい90ミリグラム/dl。牧田医師はこれを「100ccの血液中に90ミリグラムの砂糖が溶けていると理解するといい」と説明する。

「体の全血液がおよそ5リットルですから、血液中には約4・5グラムの砂糖が溶けている計算になる。糖質が高い飲料を摂取するということは、そこに砂糖の塊、血糖値でいえば千の数字が出るほどの量を一気に取り込むことになります。体は血糖値が急上昇しないように、すぐさま膵臓すいぞうから大量のインスリンを分泌します。それを何度も繰り返しているうちに膵臓は疲弊し、必要な時にインスリンが出せない=糖尿病に行き着くんです」

私が野菜果物ジュースを批判する最大の理由は、ここにある。菓子やケーキ類をはじめ、炭水化物を多く含むものはもちろん血糖値を上昇させるが、それでも消化に数時間はかかる。まだマシである。ところが液体であると、たとえそれより少ない糖質摂取量であっても、血糖値を急上昇させる。

まちづくり
川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に──「世界に類を見ない」アリーナシティプロジェクトの魅力
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=反発、ダウ305ドル高 中東情勢の沈

ワールド

米政権、マスク氏のTSA職員給与支援の申し出拒否=

ビジネス

FRBミラン理事、政策金利「約1%高すぎる」 マク

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、イラン情勢にらみ「有事の買
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 2
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「日本産ミュージカルの夢」に賭ける理由【独占インタビュー】
  • 3
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 4
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 5
    「有事の金」が下がる逆説 イラン戦争で市場に何が…
  • 6
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 7
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 8
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 9
    地上侵攻もありえる...イラン戦争が今後たどり得る「…
  • 10
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 1
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 3
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 9
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中