最新記事
ヘルス

良質な睡眠は8時間ではない!? 20年前から劇的に変化した「快眠」の新常識

2023年3月6日(月)12時10分
角谷リョウ(スリープコーチ) *PRESIDENT Onlineからの転載

「8時間眠れていないので不調」は大間違いである

私は睡眠セミナーをするとき、必ず「厚生労働省が推奨する睡眠時間はどれくらいでしょうか?」という質問をするようにしています。いつも5択の選択式で行うのですが「8時間」と答える人が半分以上です。

実際にいろんな研究でよく出てくる中央値は7時間から7時間30分くらいですが、おそらくマスコミの影響で多くの人が「8時間が最もよい睡眠時間だ」と思っているようです。

ところが実は、厚生労働省が推奨する睡眠時間は「人それぞれ」です。これは厚労省がいい加減なわけではなく、研究調査を重ねて出た答えが「人それぞれ」だということなのです。

基本的に人間は個体差がありますから、必要な食事量や体重などあらゆることが人それぞれです。しかしそうは言っても基準がないと困るので、一応平均値や安全範囲を決めているのです。睡眠時間も最初は基準を決めようという話もあったそうです。

ところが調べてみると、睡眠に全く問題のない健康な人の睡眠時間は、なんと3時間から10時間以上と7時間以上も幅があったのです。

このような事情から、厚労省は推奨睡眠時間や範囲を決めないほうが良いと判断しました。とはいえ、世の中では「8時間睡眠がベスト」と思っている方が多いので、「8時間眠れていないので不調」ということになるわけです。

睡眠をめぐる時代の変化を示すイラスト


実際に睡眠指導の現場では、50代になると平均で最適な睡眠時間が6時間といわれているのに、7時間しか寝れずに困っているとおっしゃる方がよくいらっしゃいます。

最近は遺伝子研究がかなり進んできていて、少し前まで20個といわれていた睡眠関連の遺伝子が351個にまで増えました。あと少しでほぼ解明できるところまで来ているそうです。

人はそれぞれ生まれ持った遺伝子で、ある程度最適な睡眠時間が決まっているのですが、その基本時間は年齢でどんどん減っていきます。

季節や気温、日照時間でもかなり変化しますし、その日どれだけ体や頭を使ったかでも変わります。繁忙期などのアドレナリンが出やすい時期は短眠傾向になることも分かっています。

ウェアラブル装置の進歩もあって、近い将来には誰でも簡単に自分の最適睡眠時間がわかるようになるでしょう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英中銀が金利据え置き、量的引き締めペース縮小 長期

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税

ワールド

UAE、イスラエルがヨルダン川西岸併合なら外交関係

ワールド

シリア担当の米外交官が突然解任、クルド系武装組織巡
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中