親が子どもの自己肯定感を下げてしまう「5つの言葉」 成績悪化につながることも
正しい意図が伝わらない
例えば、親が「だからこういうときは〇〇するの!」と言ったとします。親は教えているつもりでしょうが、これは客観的に見ると「怒っている」と言います。これでは内容は子どもに伝わらず、親の感情だけが子どもに残ります。つまり、子ども側からすれば、親に怒られたことだけが印象に残り、改善ができず、何回も言われなければならない事態になるということです。
この現象は先生が生徒を怒っている場面でも見られます。子どもの頃、先生が授業中に怒る場面に遭遇したことがあると思いますが、そのときの内容を覚えていますか。おそらく覚えているのは、先生が怒っていたという感情面だけでしょう。
「何回言ったらわかるの!」という言葉が意味するところは、「何回も言わないとわからないあなたはまったくダメね! どうしようもないね!」であり、これで自己肯定感が下がらないほうが珍しいといえます。
(5)早くして!
この言葉は意外と思うかもしれません。毎日のように子どもに言う言葉でドキッとする人もいるかもしれません。
時間感覚は生きてきた年数が異なる大人と子どもでは違うと言われています。ジャネーの法則では「年齢比の逆比」と言われており、例えば10歳の子と40歳の親では、年齢比は1:4なので、時間の長さの感覚は4:1になるということです。ですから、「たった10分なんだからやってしまいなさい」と親が発言する10分は、その子にとっては40分の感覚ということです。
また、一部の例外を除き、一定年齢までの子どもには未来という概念がありません。もし未来の概念があれば、不安感を抱き、準備を始めるということをするはずですが、子どもの多くは目の前の現実のみを見て判断する傾向にあります。
裏メッセージが心に深く埋め込まれる
ですから、早くさせたいのであれば、間に合うような仕組みを考えるほうがいいのですが、つい声かけだけで何とかしようと思い「早くしなさい」と言ってしまうわけです。
「早くしなさい」「早くして!」と言われ続けた子どもはどうなるでしょうか。一つはその言葉をアラームとして認識することになります。つまり親が言わないと動かないということです。
もう一つは、「早くして」という言葉から「あなたは遅い」というメッセージだと受け取ります。「遅い=ダメ人間」と自己肯定感を失わせることもあります。
以上の5つの言葉を紹介しました。こうした日常の何気ない言葉には、「裏メッセージ」があり、その裏メッセージが心にアンカーとして深く埋め込まれることがあるので、注意を要します。
ただし、これらの言葉は絶対に使用してはいけない言葉ではなく、1回、2回使う程度はまったく影響ありません。問題となるのは、継続的に使われた場合です。ぜひ日常の振り返りとしてこの5つを検証してみてください。
石田勝紀
教育デザインラボ代表理事、教育評論家
1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。
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