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163cm80kgで「デブモデル」とイジられた私がアメリカで成功したのは何故か

2022年10月17日(月)11時50分
藤井美穂(俳優、プラスサイズモデル) *PRESIDENT Onlineからの転載

藤井美穂さん 撮影=dalure


「モデル」と聞いて、どんな体型の人をイメージするだろうか。身長は163cm、体重80kgで、アメリカでモデルとして活躍する藤井美穂さんは「大学卒業後に渡米することで、モデルとして活躍する道が開けた。古い美の価値観にとらわれている日本にいたら、いまの自分はいなかっただろう」という――。

※本稿は、藤井美穂『今のままでゆるぎない自信を手に入れる LAでプラスサイズモデルになった私の人生逆転法』(大和書房)の一部を再編集したものです。

世界で広がるプラスサイズモデルの活躍

「モデル」と聞くと、背が高くて華奢な人をイメージする方が多いかもしれません。

しかし欧米では6~7年ほど前から、どんな体型でも美しいと捉える考え方「ボディポジティブ」という考え方が広まるにつれて「プラスサイズモデル」の活躍が目立つようになってきました。

プラスサイズモデルとはその名から想像できる通り、大きなサイズの服を着こなすモデルのことです。グラマラスな体型、カーヴィー(curvy/曲線美)なボディラインをしたモデルというと伝わりやすいでしょうか。モデル業界における平均的な体重、身長よりも大きいモデルが多いです。

私自身は俳優ですが、ロサンゼルスでプラスサイズモデルとしても芸能活動をスタートしました。身長は163cm、体重80kgです。現在の拠点は日本ではなく、米国ロサンゼルス。大学卒業後に渡米して今に至りますが、もし日本にい続けたら今の私はいなかったと断言できます。

そう考える根拠は、日本ではいまだに「ふくよかな体型であること」が、多くの人にいじりや嘲笑の対象にされてしまうと感じているからです。

「美」の基準が狭すぎる日本

以前、有名芸人さんの番組にプラスサイズモデルが出演していて「デブモデル」とひどい言葉をかけられるのを見て「私ならどんなふうにいい返すだろう?」と真剣に考えたのを覚えています。

そもそも日本では「美しい」とされる体型の範囲が狭く、体型的にも細すぎるように感じます。

フランスでは若者の摂食障害の誘因になるとして、2017年より瘦せすぎたモデルの活動が禁止される法律が施行されました。モデルは活動の際に、BMI(※)が低すぎないことや「健康」であることを医師によって証明することが義務付けられるようになりました。具体的な基準の明記は見送られましたが、世界保健機関の基準ではBMI18.5未満は低体重と定義されています。

しかし、日本では女の子の体重の基準として「シンデレラ体重(BMI18)」や「モデル体重(BMI17)」という言葉が使われていたり、「夏までに水着が似合う体型になるようにダイエットしよう」というような広告が普通にあったりします。こうした国では標準体重でも自分はきれいではないと思ってしまうでしょう。ましてや私のような体型をしていると、「自分は醜い」と思ってしまい、自己肯定感はどんどん下がっていきます。いまのように、「自分が大好き!」「私はありのままで素敵!」と自信をもって、自分を表現することなど不可能だったと考えるわけです。

※体重kg÷(身長m)2で算出。身長160cmの場合、標準体重は56.3kg、シンデレラ体重は46.08kg、モデル体重は43.52kgとなる。

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