最新記事
女性

163cm80kgで「デブモデル」とイジられた私がアメリカで成功したのは何故か

2022年10月17日(月)11時50分
藤井美穂(俳優、プラスサイズモデル) *PRESIDENT Onlineからの転載

中学校時代は太っていることでいじめられた

実際、日本にいる間は、自分のことが大嫌いでした。

13歳くらいで太り始めて10年以上、親や親族、ときには友人からも「あなたは太っている」「もう少し痩せないといけない」と体型についていわれ続けました。親はいじわるをしていたわけではなく、「女の子はかわいくないと人生を楽しめない」と心配していたのです。でも、ダイエットをしてもなかなか痩せられない私にとっては、心配の言葉もつらかったです。

もっとも苦しかったのは、中学でいじめに遭ったときです。

「デブ」「ブス」という言葉を何度もかけられました。どうしても学校に行きたくなくて、精神科医の先生に診断書を書いてもらい、半年ほど家に引きこもって過ごしたこともありました。登校を再開してからは保健室通いでしたが、それでも時々休んでしまうほど、学校に行くのは苦痛以外の何ものでもなかったです。

背中を押してくれる先生との出会い

中高一貫校だったので、中3の12月頃まではエスカレーター式で進学することを考えていました。でも、唯一つながっていて「この子しか仲良くしてくれる人がいない」と思っていた友達からも突然無視されるようになり、もう学校に居場所はない......と絶望。高校受験をして転校しました。

しかし、このことが転機になり、運命が変わり始めました。

高校で始めたなぎなたで、運良くインターハイと国体に出場できて、行きたかった大学への推薦を獲得。ここで演劇を学ぶことになり、外見に関係なく、私を認めてくださる演劇の師匠、井田邦明先生に出会ったのです。

井田先生の指導はとても厳しかったのですが、必死で練習に取り組みました。そして、迎えた舞台のあと、「お前はどこに行ってもやっていける」「藤井、お前は世界に行けよ」と言ってくださったのです。

この言葉は、人生のお守りになりました。そして、無謀にもハリウッド俳優になることを目指して、英語も満足に話せないなかで単身渡米したのです。「デブ」「ブス」と呪いの言葉をかけられ続けた日本からとにかく脱出したいという思いもありました。

日本社会にある「基準」の外へ飛び出して

渡米したからといって、いきなりすべてがうまくいったわけではありません。しかし、アメリカには日本よりはるかに多様な価値観があり、それに触れることによって、少しずつ自分にかけられた呪いが解けていきました。

プラスサイズモデルに挑戦したきっかけは、知人のすすめでした。日本では「太っている」「痩せないと不健康」といわれていた体型を「個性」として活かしてみることを提案され、回ってきた動画の仕事に手を挙げてみたのです。

その動画がきっかけで、当時はまだ珍しかった「アジア人のプラスサイズモデル」として、アメリカで注目されるようになりました。

「ボディポジティブ思考」をインストールする

しかし、やはり自分に自信が持てません。

そこで、どんなプラスサイズモデルが人気なんだろう? とSNSでリサーチしてみたのです。そこで、KELLY U(@_kellyu)さんを見つけました。

彼女は鍛えていたりメリハリがあるわけでもなく、いってしまえば「インスタ映え」しない体型。「私の友達にこういう子いるなぁ」と思うほど、親近感を覚える見た目をしています。

その彼女がSNSにお腹にシワが寄っているのがわかる水着姿の写真を堂々と投稿しているのを見て、衝撃が走りました!

KELLY Uさん
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

脅迫で判事を警察保護下に、ルペン氏有罪裁判 大統領

ビジネス

貿易分断で世界成長抑制とインフレ高進の恐れ=シュナ

ビジネス

テスラの中国生産車、3月販売は前年比11.5%減 

ビジネス

訂正(発表者側の申し出)-ユニクロ、3月国内既存店
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中