最新記事
ヘルス

血管年齢が13歳も若返る!? 循環器内科医が40代半ばから毎日食べている「ある食材」

2022年9月25日(日)15時30分
池谷敏郎(池谷医院院長、医学博士)*PRESIDENT Onlineからの転載

全身の血液のおよそ70%が、心臓よりも下に存在します。この血液は重力に逆らって、心臓まで戻ります。ところが、心臓のポンプ機能は吸い上げる力がごくわずか。その心臓に代わって、ふくらはぎが血液を押し上げるポンプの役目をします。

下半身の血液は、ふくらはぎの筋肉の収縮によって静脈を通り、心臓へと送られます。大股早歩きのウォーキング、これだけで「血管力」がつきます。

血管年齢の若返りが期待できる青魚

加えて、さばやいわしなどの青魚を常食にすれば、血管年齢は間違いなく若返ります。私も40代半ばころに生活習慣を見直したところ、実に13歳も血管年齢が若返っています。青魚には血流を良好にし、動脈硬化を防ぐEPAが豊富です。

池谷敏郎『若い体、いつまでも! 心臓セルフメンテ』(工パブリック)「大股早歩きウォーキング」と「青魚食い」、この2つの習慣は「体が芯から若返る」ための基本の習慣と、私は肝(きも)に銘じています。血管の老化は外からではわかりにくいため、ほとんどの人は気づかずに放置したままです。40代の大半の人の血管が動脈硬化状態にある、といってもいいすぎではありません。

動脈硬化は血管内壁の血液に触れる内皮細胞が障害によって、引き起こされます。そのため、内皮細胞の機能を保つことが、動脈硬化の予防につながります。血管は内膜、中膜、外膜の3層からなっています。動脈を例にとると、内膜は血流に直(じか)に接する最も内側の層。内側の表面は、内皮細胞に覆われています。

内皮細胞は血液が固まるのを防いだり、血管を広げたりするなど動脈硬化を防ぐさまざまな働きを持ち、血管の健康を保っています。血管力とは、おもにこの内皮細胞が本来持つ機能のことなのです。ちなみに、「血管力」は私の造語です。

血管のしなやかさは、中膜を構成する筋肉(平滑筋(へいかつきん))によって保たれます。平滑筋は大動脈には少なく、末梢の細動脈にいくほど発達しています。細動脈は動脈から毛細血管に至る直前に存在する細い動脈。交感神経の影響を受けて血圧を調整したり、血流をスムーズに循環させたりします。

健康的な生活習慣で血管力を高めることができる

毛細血管は、外側の表面を薄い膜で覆われた、内皮細胞だけでできています。ですから毛細血管自体には収縮したり拡張したりする機能はありません。したがって、そこにつながる末梢動脈を開くことが毛細血管に血液を流すためのポイントとなるのです。

血管がしなやかさを失い、厚く硬くなりはじめる動脈硬化の初期段階で、内皮細胞の機能が低下して障害が生じることがあります。


●白血球やコレステロールが血管壁に付着・沈着しやすくなる
●血栓ができやすくなる
●平滑筋の伸縮がスムーズでなくなる
平滑筋が収縮したままだと、高血圧を招きます。

こうしたダメージが、動脈硬化を進行させていきます。しかし、内皮細胞には回復力が備わっています。健康的な生活習慣で血管力を高めれば、完全に元の状態に戻すことはできなくても、血管事故を起こしにくい状態に導くことができます。多少、硬くなったり狭くなったりしていても、詰まりにくく切れにくい血管へと修復されます。

内皮機能を低下させる原因を取り除いたり、また機能を高めたりすることができれば、動脈硬化の予防・改善はもとより、血管の老化を止めることができるのです。

池谷敏郎(池谷医院院長、医学博士)

池谷医院院長、医学博士
1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。97年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとしてメディアにも多数出演している。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中