最新記事

ヘルス

腹筋は100回より10回のほうがいい 正しい筋トレの3大原則は「過負荷」「漸進性」「継続性」

2022年6月5日(日)14時20分
中野 ジェームズ 修一(フィジカルトレーナー) *PRESIDENT Onlineからの転載

筋肉痛が起きなくても筋力アップや筋肥大は起きる

「筋トレでは筋肉痛が起こるまで追い込むべき?」
A.筋肉痛と筋トレの効果は関係ない
B.筋肉痛が起きていなければ負荷を見直すべき
→筋肉痛が起きなければ筋トレの効果がないわけではありません(正解はA)

筋肉痛はどうして起こるのか。実は、筋肉痛のメカニズムはまだすべてが解明されていません。近年、有力視されているのが、体を動かすことでできる筋線維の傷が原因だという説です。筋線維に傷ができるほど筋肉を使ったわけですから、しっかりと追い込めた一つの証拠にはなるわけですが、筋肉痛が起きなければ追い込めていないかというと、そんなことはありません。筋トレ後に筋肉痛が全くないという人でも、筋力アップや筋肥大は起こります。

それなら筋肉痛なんてなければいいのに、なんて思うかもしれませんが、筋肉痛は筋トレフォームの改善や、負荷の目安に活用することができます。

たとえば、ベンチプレスや腕立て伏せで大胸筋をメインに鍛えたとしましょう。もし、片側の胸にだけ筋肉痛が出たり、胸ではなく肩や腰に筋肉痛が出たりしたのなら、それは誤ったフォームが原因かもしれません。ベンチプレスならバーを握る位置や、ベンチに寝ている姿勢、腕立て伏せなら手を置く位置などを見直してみましょう。

「年をとると筋肉痛が出にくい」は都市伝説

中野ジェームズ修一『子どもを壊す部活トレ』(中公新書ラクレ)筋トレの後、1週間も筋肉痛が抜けないなどという場合は、負荷が大き過ぎる可能性があります。いつも必ず筋肉痛が起きていたのに、しばらく筋肉痛にならないという場合は、負荷を上げてみてもいいかもしれません。

部活の話からはそれてしまいますが「年をとると筋肉痛が出るのが遅くなる」というのは、都市伝説のようなもので、全く根拠がありません。若い人はすぐに筋肉痛が起きて、高齢になると筋肉痛のタイミングが遅れてくるというのは事実無根なのです。

しかし、高齢になると疲労からの回復、筋肉痛からの回復が遅くなるということはあります。

筋肉痛が起きたら運動をしてはいけない、ということはありませんが、パフォーマンスの低下に繋がってしまうので、試合前に筋肉痛が起こるまで体を追い込むのは避けるべきでしょう。

中野 ジェームズ 修一(なかの・じぇーむず・しゅういち)

フィジカルトレーナー
1971年、長野県生まれ。フィジカルを強化することで競技力向上や怪我予防、ロコモティブシンドローム・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。卓球の福原愛選手やバドミントンのフジカキペアのほか、2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。著書に『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP社)、『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ』シリーズ、『定年後が180度変わる 大人の運動』『医師も薦める 子どもの運動』(すべて徳間書店)など多数。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国万科の社債急落、政府が債務再編検討を指示と報道

ワールド

ウクライナ和平近いとの判断は時期尚早=ロシア大統領

ワールド

香港北部の高層複合アパートで火災、4人死亡 建物内

ビジネス

ドル建て業務展開のユーロ圏銀行、バッファー積み増し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中