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こんな人と一緒に働いたら絶対ダメ 人間関係を破壊する人に共通する「4つの毒」

2022年5月8日(日)15時23分
松村亜里(心理学者、ニューヨークライフバランス研究所代表) *PRESIDENT Onlineからの転載

この関係性をつくるスキルには、次の2つがあります。

①「マイナス3から0のもの=悪い関係」を予防するもの
②「0からプラス3へ行くもの=よりよい関係」を促進するもの

①の最初のポイントは、人間の関係を壊す「4毒」を減らすこと。4毒とは、

・批判
・侮辱
・自己弁護
・逃避

のことで、まずはマイナス3の悪い関係性をつくらないように、この4つの行動を最小限にする努力をします。そのためにも、これらが起こりにくいガイドラインをつくり、場で共有します。

この4毒をつくらないためのガイドラインは、以下の4つです。

①相手自身を批判せずに、行動に注目する
この批判とは、「あなたは~だ」と、相手の人格・性格・能力を責めること。行動を責める不満とは違います。たとえば、時間に遅れてきた人に、

「なんて無責任なんだ」

と責めるのは批判(非難)ですが、

「時間どおりに始められなかったので、困ります」と行動に言及するのは、不満です。

批判の中でも、とくに気をつけたい言葉は、「いつも~だ」「いつも~してくれない」など。

「いつも」という言葉には「変わらず」という意味が含まれているので、自ずと人格批判になります。

性格や能力はすぐには変えられないため、そこを批判されると、人は無力感や焦燥感に陥りやすく、攻撃されていると感じて防衛的になります。

一方、行動は変えられるので、希望が持てます。相手を責めるのではなく、行動に注目し、やってほしいことを気持ちよくリクエストしていきましょう。

侮辱の多い関係により、風邪にかかる確率も高くなる

②相手を侮辱せずに、性格の強みに注目する
侮辱とは、「あなたなんかにできない」という、人を見下したような見方や言動を指します。これには、冷笑、皮肉、挑発も含まれます。

心理的安全性のある関係性とは、互いに信頼し合うことなので、侮辱はその真逆ということですね。

余談ではありますが、この侮辱の多い関係にあると、風邪やインフルエンザにかかる確率が高いという研究報告もあり、免疫力まで下げてしまうこともわかっています。

人を侮辱する代わりに、相手の力や性格の強みに注目し、相手の可能性を信じる選択をして、そのためには何が必要かを話し合ってみましょう。

③自分が間違ったときは、自己弁護しないで謝る
自己弁護とは、「私は悪くない。問題はあなたにある」という感覚で、言い訳のこと。ここでの問題点は相手を責めることで、自分が謝る機会がなくなることです。

だから、相手を不快にさせたときは、まずは謝ること。そうすれば、「人は間違ってもいい」という文化がつくられて、心理的安全性が高まります。

④問題から逃避しないで話し合う
この逃避とは、問題について話す機会を避けること。

相手が話してきても無視したり、グループの中で話すことがタブーになっていることがあったりすることです。

問題ときちんと向き合わないために、人間関係の修復が阻まれてしまい、そのせいで、孤独な人を生んでしまうことがあります。だから、大切なことはちゃんと話し合う。勇気がいることだとは思いますが、心理的安全性は、いい人になるためのものではないのです。

お互いの幸せと成長のために、勇気を持って話し合いましょう。

挑戦を歓迎する――みんなの共通認識を最初につくっておく

『誰もが幸せに成長できる 心理的安全性の高め方』(WAVE出版)以前、私が働くチームに、

「ダメ、ダメ。それはできません」

と、誰かの意見に反対ばかりしたり、人をバンバン批判したりする人がいました。こちらから何度注意しても変わらなかったので、「もう、ミーティングには出ないでください」と、はっきり言ったことがあります。

そうすると、ほかの人たちが意見を言えるようになるのです。辛い決断ですが、これは大切なことです。

だから、集まりの最初に、

「ここでは、こういう場をつくっていきます」
「こういうことを大事にします」
「こういうことはしないでください」

といった「場のガイドライン」を、まずはリーダーが明示して、メンバーとシェアしておくことが大切です。

「みなさんの挑戦を歓迎します!」

といった「共通認識」を、最初につくっておくのです。

職場などでは、いきなりするのは難しくても、たとえばミーティングなどで、話し合う内容を決めたあとに、

「ここでは多様性を尊重します。どんな意見にも、耳を傾けましょう」
「意見は、質より量を歓迎します」
「人の意見は批判しないようにお願いします」といった「ガイドライン」を示しておくといいでしょう。

そうやって大切にしていることを決めて、メンバーそれぞれがその範囲内で、

「私も意見を言っていいんだ」
「批判されないんだ」

と思えることで、心理的安全性は高まります。

あとは、みんなでそれにかなった「安心安全の場」を自然につくっていってくれるものなのです。

松村亜里(まつむら・あり)

心理学者、ニューヨークライフバランス研究所代表
医学博士・臨床心理士・認定ポジティブ心理学プラクティショナー。母子家庭で育ち中卒で大検をとり、朝晩働いて貯金をしてニューヨーク市立大学入学。首席で卒業後、コロンビア大学大学院修士課程臨床心理学、秋田大学大学院医学系研究科博士課程公衆衛生学修了。ニューヨーク市立大学、国際教養大学でカウンセリングと心理学講義を10年以上担当し、2013年からニューヨークで始めた異文化子育て心理学講座が好評で州各地に拡大。ニューヨークライフバランス研究所を設立してポジティブ心理学を広めている。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
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