最新記事

女性問題

男女格差ランキング120位は本当? 「女性が差別される国」日本で男より女の幸福感が高い皮肉

2021年4月18日(日)16時45分
本川 裕(統計探偵/統計データ分析家) *PRESIDENT Onlineからの転載

ジェンダーギャップ指数と幸福度の男女格差は無相関

上にふれた「世界経済フォーラム」が作成した「ジェンダーギャップ指数」の結果(世界の中でも有数の男性優位社会、女性差別社会)と、意識調査結果による幸福度の男女格差のランキング(女性の幸福感が男性を常に上回る)はあまりに食い違っている。

この点を確認するために、両者の相関図を図表4に掲げた。

reuters__20210418163302.jpg

幸福度女性優位度世界一のフィンランドはジェンダーギャップ指数でも男女格差の小ささが世界2位であり、両者には関係があるようにも見える。しかしながら、ジェンダーギャップ指数で男女格差の小ささが世界1位のアイスランドでは、幸福度はむしろ男性のほうは2%ポイントほど大きいという結果(女性の幸福度が男性より低い)となっており、まったくの逆比例である。

男女格差が大きいパキスタンやイランでは、幸福度も男性優位であるが、日本の場合は、男女格差が大きいのに幸福度は明確に女性優位である。

つまり、ジェンダーギャップ指数で測った男女格差と、幸福度の男女格差はまったく相関していない。相関図の全体的な分布を見てもそう言える。

図表4の右上には、当記事の冒頭でジェンダーギャップ指数と比較した国連開発計画のジェンダー不平等指数で同様の相関を見た図を掲げておいた。こちらのほうでは、相関度は低いが、多少なりとも右下がりの傾向、すなわち、男女格差が大きいほど幸福度の男性優位となる傾向が認められる。

相関度を表す値にR二乗値があるが、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数では0.022とほとんどゼロ(無相関)であり、しかも傾きがプラスであるのに対して、国連開発計画の指数では0.076で傾きもマイナスであり、若干ながら右下がりの相関があるといえるのである。

こうした面からも、マスコミ各社が「日本=旧態依然の女性差別国・男性優位社会」ということを述べるためにこぞって取り上げる世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」を男女格差の程度を示す指標としてうのみして論じることには無理があろう。

本川 裕(ほんかわ・ゆたか)

統計探偵/統計データ分析家
1951年神奈川県生まれ。東京大学農学部農業経済学科、同大学院出身。財団法人国民経済研究協会常務理事研究部長を経て、アルファ社会科学株式会社主席研究員。「社会実情データ図録」サイト主宰。シンクタンクで多くの分野の調査研究に従事。現在は、インターネット・サイトを運営しながら、地域調査等に従事。著作は、『統計データはおもしろい!』(技術評論社 2010年)、『なぜ、男子は突然、草食化したのか――統計データが解き明かす日本の変化』(日経新聞出版社 2019年)など。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「AIよ、うちの商品に注目して」、変わる

ワールド

エアバス、A320系6000機のソフト改修指示 A

ビジネス

ANA、国内線65便欠航で約9400人に影響 エア

ワールド

アングル:平等支えるノルウェー式富裕税、富豪流出で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 5
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 6
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 9
    エプスタイン事件をどうしても隠蔽したいトランプを…
  • 10
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 7
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中