最新記事

トラベル

コロナショック後の旅行は「3つの点」で大きく変わる インバウンドの終わりと始まり

2020年6月15日(月)17時15分
岡本 岳大(wondertrunk & co.代表取締役共同CEO、デスティネーションプロデューサー) *東洋経済オンラインからの転載

欧州においても域内の制限はあるにせよ、スペインやイタリアは7月から海外からの旅行者向けに空港を再オープンすると発表し、フランスも国境封鎖を6月15日に解除する予定です。バンコクポスト紙によれば、アジアでも観光市場が動き出しており、バリの観光省は6月から海外からの観光プロモーションを再開するそうです。

歴史的にさかのぼってみても、国際旅行者数は、1973年~1974年のオイルショックのときも一時的に落ち込みはしましたが、その後すぐに回復し上昇を始めました。2001年の9.11のあと、2008年のリーマンショックのあと、一時的に横ばいか落ち込むことはあっても、その後、必ず右肩あがりの成長を続けています。「旅」という産業は「短期的には打たれ弱く、長期的にはとても打たれ強い」という側面があるようです。

もちろん、一度、解除されても再び感染が広がって逆戻りする可能性もあるので、時期の見極めや安易な誘客プロモーションは現実的ではありませんが、人々の旅への情熱や観光業界の回復力を考えると、世界の旅行マーケットやインバウンド需要が戻ってくるときのために、日本でも今からしておく準備がいろいろとありそうです。

今回の新型コロナによって、世界の旅人たちのニーズはどう変わるのでしょうか? そして、日本のインバウンドはどのように準備ができるでしょうか。

新型コロナで旅行者のニーズはこう変わる

すべてを網羅することはできませんが、ここでは各国のメディアの記事や専門家の意見なども参考にしながら、「新型コロナで世界の旅人のニーズはこう変わる」という視点を3つほど紹介したいと思います。

①旅に求める意義が変わる

感染リスクが今後も続く中では、世界の旅人たちにとっては「長い時間をかけて移動してまで日本に行く、その旅の意味は何か?」が重要になります。

世界的な旅行メディアであるCondé Nast Travellerの英国版でライターのJuliet Kinsman氏も「今や旅を検討するときに、本当に家を離れる価値があるか?が問われるようになった」と語っています。

ありうる1つの答えは「娯楽だけではない旅の目的」です。以前の記事でもご紹介しましたが、世界にはさまざまな「特別な目的のために旅をする人たち(○○好き旅人)」がいます。例えば「バードウォッチング好き」のように、自分の大切なライフワークを実現するための旅は、他の場所では代替が利かないのでニーズが強いのです。

実際に、震災後の福島も「パウダースノー好き」「サムライ好き」といったように、自分たちの旅コンテンツと相性のいい旅の目的を、特定の層に明確に打ち出すことで大きく回復しました。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

脅迫で判事を警察保護下に、ルペン氏有罪裁判 大統領

ビジネス

貿易分断で世界成長抑制とインフレ高進の恐れ=シュナ

ビジネス

テスラの中国生産車、3月販売は前年比11.5%減 

ビジネス

訂正(発表者側の申し出)-ユニクロ、3月国内既存店
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中