どう違う? 日本・韓国・中国「祖父母の孫育て」体験記
IT REALLY DOES TAKE A VILLAGE
これを韓国との比較で考えてみると、日本では韓国に比べて同居しながら孫育てをするケースが少ないということも、負担感の低さにつながっているのかもしれない。調査の仕組みが違うため単純に比較はできないが、韓国の場合、祖父母と孫の同居率は20 %を超えるが(2015年韓国統計庁調査)、日本は6.7%(2015年第一生命経済研究所調査)というデータもある。当然、同居のほうが祖父母世代、父母世代共にストレスを感じる可能性は高まるだろう。ちなみに韓国でも、同居での孫育ての割合は減る傾向にある。
また、世代にもよるが、一般的に韓国人よりも日本人のほうが、家族といえども一定の距離を置きながら付き合うということに慣れている面があるように思える。
個人的な経験を持ち出して恐縮だが、長女が生まれた17年前は、夫の仕事の都合で福島県に暮らしつつ東京都内の大学院に通っていた。母と義母が交代で子供を見てくれたが、生後数カ月の娘を義母に預けて家を出るときの、不安と申し訳なさの入り交じった思いは忘れられない。しかし、その後、何度も義母に娘を見てもらったが、教育方針などで意見の食い違いを見た記憶がない。エネルギッシュで明るい義母は私とは適切な距離を保ちながら、孫娘を自転車に乗せて近所にある公園を回りながら遊んでくれたものだった。
「村全体が関わる」ことの意味
一方、昨年の世界銀行統計によると、女性の就業率は日本が51%、韓国は53%と同程度だが、中国は61%と高い。社会主義の仕組みの中で、従来から夫婦共働きが一般的だったためだと考えられるが、0~3歳児を持つ中国人女性の悩みも深いようだ。
中国のインターネットを見ると「産休は半年しかもらえず、父母は退職前で面倒を見てくれず、幼稚園は3歳から。私はどうすればいいの? 仕事を辞めないといけない?」といった若い母親の書き込みが目につく。中国も子育て関連の公的支援が充実しているとは言えないようだ。
天津市に住む30代の知人夫婦の場合は、4歳の長男と1歳半の長女とマンション暮らし。夫婦とも公的機関で働いているので、長男の幼稚園の送り迎えと長女の面倒は、祖母に頼っている。とはいえ、体力面でも同居による精神面でも負担が大きいため、母方の祖母が湖南省から半年、父方の祖母が山東省から半年と交互に来ているのだという。