日経平均の最高値更新から見える、日本株市場の特殊さと「物足りない」と言わざるを得ない理由
■海外投資家の買い
バフェット効果もあり、海外からの資金流入が増加し、日本株式市場に注目が集まりました。また、中国経済に対する懸念から、中国に向かっていた資金の一部が日本株に流れました。
■金融政策の恩恵
日本銀行の金融緩和政策や長期金利の動向も、株式市場に好影響を与えました。政策金利の維持や量的緩和策の継続が株価の下支えになりました。
■企業の経営改革
一部の日本企業が経営改革を進め、業績改善を果たしたことも株価上昇の要因となりました。
■外部環境の変化
FRBの金融引締め政策の見直し期待に伴うアメリカ株の株高や、円安基調などが日本株式市場にも好影響を及ぼしました。
(参考記事)平成バブルと並んだ令和の日本株 その実態を3つの視点から読み解く
アメリカ市場が勝者である続ける理由
それでは、定期的に最高値を更新し続けているアメリカ株式市場について、改めて、その強さの理由を考えてみたいと思います。
■世界的な企業
ハリウッド映画に代表されるように、アメリカ企業にとっては全世界が市場です。国内だけでなく海外にも進出できれば、それだけ売上が伸びることになります。
残念ながら、現状では、世界的に通用する日本企業は一部の製造業のほか、ゲームやアニメといったコンテンツ産業などに限られていますが、アメリカには様々な業種で世界的な企業が数多くあります。
■世界最大の経済大国
アメリカは世界ナンバーワンの経済大国です。そして、経済成長率も先進国の中でナンバーワンです。
■質の高い経営陣
日本には「経営のプロ」が少ないと言われています。アメリカでは、多くの場合、ビジネススクールで経営のノウハウを勉強し、経営者としてのキャリアを積んで、経営のスキルを身につけていきます。「理論」と「実践」で経営を学んでいくのです。
一方、日本の場合は、出世競争で一番昇りつめた人が社長になっているのが一般的です。
■株式文化
長い間、日本企業の資金調達は借り入れに依存してきました。株式は持ち合いで、株主は〝物言わぬ投資家〟と言われてきました。「株に投資している人はお金に汚い」と思っている人も、いまだにいます。
対してアメリカでは、株主からのプレッシャーが強いため、企業のトップは常に株価を意識し、株主への情報公開も積極的です。また、個人の資産形成には株が重要な位置を占め、国民が株に慣れ親しんでいます。
■起業家精神
アメリカからは多くの革新的な企業が生まれています。日本人は改善・改良は得意なものの、創造性に乏しいと言われています。また、日本では失敗をネガティブにとらえがちですが、アメリカでは「失敗して学んだのだから、次回は成功するだろう」と、失敗をポジティブに受け止めてくれます。