最新記事
株の基礎知識

日経平均の最高値更新から見える、日本株市場の特殊さと「物足りない」と言わざるを得ない理由

2024年3月21日(木)18時35分
朋川雅紀 ※かぶまどより転載

■海外投資家の買い

バフェット効果もあり、海外からの資金流入が増加し、日本株式市場に注目が集まりました。また、中国経済に対する懸念から、中国に向かっていた資金の一部が日本株に流れました。

■金融政策の恩恵

日本銀行の金融緩和政策や長期金利の動向も、株式市場に好影響を与えました。政策金利の維持や量的緩和策の継続が株価の下支えになりました。

■企業の経営改革

一部の日本企業が経営改革を進め、業績改善を果たしたことも株価上昇の要因となりました。

■外部環境の変化

FRBの金融引締め政策の見直し期待に伴うアメリカ株の株高や、円安基調などが日本株式市場にも好影響を及ぼしました。

(参考記事)平成バブルと並んだ令和の日本株 その実態を3つの視点から読み解く

アメリカ市場が勝者である続ける理由

それでは、定期的に最高値を更新し続けているアメリカ株式市場について、改めて、その強さの理由を考えてみたいと思います。

■世界的な企業

ハリウッド映画に代表されるように、アメリカ企業にとっては全世界が市場です。国内だけでなく海外にも進出できれば、それだけ売上が伸びることになります。

残念ながら、現状では、世界的に通用する日本企業は一部の製造業のほか、ゲームやアニメといったコンテンツ産業などに限られていますが、アメリカには様々な業種で世界的な企業が数多くあります。

■世界最大の経済大国

アメリカは世界ナンバーワンの経済大国です。そして、経済成長率も先進国の中でナンバーワンです。

■質の高い経営陣

日本には「経営のプロ」が少ないと言われています。アメリカでは、多くの場合、ビジネススクールで経営のノウハウを勉強し、経営者としてのキャリアを積んで、経営のスキルを身につけていきます。「理論」と「実践」で経営を学んでいくのです。

一方、日本の場合は、出世競争で一番昇りつめた人が社長になっているのが一般的です。

■株式文化

長い間、日本企業の資金調達は借り入れに依存してきました。株式は持ち合いで、株主は〝物言わぬ投資家〟と言われてきました。「株に投資している人はお金に汚い」と思っている人も、いまだにいます。

対してアメリカでは、株主からのプレッシャーが強いため、企業のトップは常に株価を意識し、株主への情報公開も積極的です。また、個人の資産形成には株が重要な位置を占め、国民が株に慣れ親しんでいます。

■起業家精神

アメリカからは多くの革新的な企業が生まれています。日本人は改善・改良は得意なものの、創造性に乏しいと言われています。また、日本では失敗をネガティブにとらえがちですが、アメリカでは「失敗して学んだのだから、次回は成功するだろう」と、失敗をポジティブに受け止めてくれます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ドバイ、渋滞解消に「空飛ぶタクシー」 米ジョビーが

ワールド

インドネシア輸出、5月は関税期限控え急増 インフレ

ワールド

インド政府、3500万人雇用創出へ 120億ドルの

ワールド

トランプ氏の対日関税引き上げ発言、「コメント控える
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    あり?なし? 夫の目の前で共演者と...スカーレット…
  • 10
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中