スタンフォードにハーバード、超名門大学が続々「テイラー・スウィフト研究」科目を開講するワケ...「軽薄」批判も
Collegiate Swifties Rejoice
冒頭に紹介したペレスは、「ビジネスの視点から講義が行われる」とみて期待を膨らませている。「卒業後に備えて、もっと経済を理解したい」から、大好きなポップスターを通じてビジネスや経済を学べば「ぐっと理解しやすくなる」というのだ。
性差別的な風潮が色濃く残る音楽業界で、スウィフトがどうやって成功をつかんだかにも興味があると、ペレスは言う。「彼女はあらゆる言動を絶えず詮索され、批判されてきた。それでもバッシングや嫌がらせの嵐に負けず、キャリアを切り開いた。そこから学べることは多いはず」
もちろん、アメリカの大学の授業は遊び半分では受けられない。ペレスも主専攻の公衆衛生学と副専攻のチカーノ(メキシコ系アメリカ人)研究の課題に追われているが、3年生の時に頑張って単位を取り、最後の年は「楽しく学べる」科目を選択しようと以前から計画していた。
州内出身者に適用される4年制の州立大学の授業料は平均して年間2万4000ドル超。卒業後もずっと学費ローンの支払いに追われるのだから、最終学年くらいは創意工夫に満ちた(つまりは面白い)講座を受講したいと思うのは自然なことだろう。
しかし当然ながら、州立大学がポップスターの研究をカリキュラムに取り入れることには批判もある。ペレスも「税金の無駄遣いだ」といった苦情を耳にするという。だが時がたてば、こうした講座が当たり前になり、かつて象牙の塔だった大学はあらゆる人の知的関心を満たす開かれた学びの場になると、彼女は期待している。
バークレー校がこの講座の受講申請の受付を開始したのは、スウィフトの誕生日である12月13日の午前0時。講師のハリアントは、学生から送られてくる山のような申請書の審査に忙殺された。
ハリアント自身、バークレーで経済学を専攻して卒業したばかりの21歳。本業は経営コンサルティング会社のアナリストだが、8歳の時からファンだったスウィフトについて講座を持つ話が舞い込んでくると、絶対やらなくてはと思った。
これまでにも、リアリティー番組のスターから一大ビジネス帝国を築いたキム・カーダシアンや、歌手のビヨンセやレディー・ガガなど、ポップアーティストをテーマにした講座はあった。だが、スウィフトはアメリカ社会に「多面的な影響を与えている」ため、より研究価値が高いとハリアントは考えている。