最新記事
教育

スタンフォードにハーバード、超名門大学が続々「テイラー・スウィフト研究」科目を開講するワケ...「軽薄」批判も

Collegiate Swifties Rejoice

2024年2月16日(金)19時24分
アリス・コリンズ

240220p50_TSF_02.jpg

カリフォルニア大学バークレー校(写真)以外にも「スウィフト学」を選べる大学が増えている DAVID MADISON/GETTY IMAGES

冒頭に紹介したペレスは、「ビジネスの視点から講義が行われる」とみて期待を膨らませている。「卒業後に備えて、もっと経済を理解したい」から、大好きなポップスターを通じてビジネスや経済を学べば「ぐっと理解しやすくなる」というのだ。

性差別的な風潮が色濃く残る音楽業界で、スウィフトがどうやって成功をつかんだかにも興味があると、ペレスは言う。「彼女はあらゆる言動を絶えず詮索され、批判されてきた。それでもバッシングや嫌がらせの嵐に負けず、キャリアを切り開いた。そこから学べることは多いはず」

もちろん、アメリカの大学の授業は遊び半分では受けられない。ペレスも主専攻の公衆衛生学と副専攻のチカーノ(メキシコ系アメリカ人)研究の課題に追われているが、3年生の時に頑張って単位を取り、最後の年は「楽しく学べる」科目を選択しようと以前から計画していた。

州内出身者に適用される4年制の州立大学の授業料は平均して年間2万4000ドル超。卒業後もずっと学費ローンの支払いに追われるのだから、最終学年くらいは創意工夫に満ちた(つまりは面白い)講座を受講したいと思うのは自然なことだろう。

しかし当然ながら、州立大学がポップスターの研究をカリキュラムに取り入れることには批判もある。ペレスも「税金の無駄遣いだ」といった苦情を耳にするという。だが時がたてば、こうした講座が当たり前になり、かつて象牙の塔だった大学はあらゆる人の知的関心を満たす開かれた学びの場になると、彼女は期待している。

バークレー校がこの講座の受講申請の受付を開始したのは、スウィフトの誕生日である12月13日の午前0時。講師のハリアントは、学生から送られてくる山のような申請書の審査に忙殺された。

ハリアント自身、バークレーで経済学を専攻して卒業したばかりの21歳。本業は経営コンサルティング会社のアナリストだが、8歳の時からファンだったスウィフトについて講座を持つ話が舞い込んでくると、絶対やらなくてはと思った。

これまでにも、リアリティー番組のスターから一大ビジネス帝国を築いたキム・カーダシアンや、歌手のビヨンセやレディー・ガガなど、ポップアーティストをテーマにした講座はあった。だが、スウィフトはアメリカ社会に「多面的な影響を与えている」ため、より研究価値が高いとハリアントは考えている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン最高指導者ハメネイ師、攻撃後初めて公の場に 

ワールド

ダライ・ラマ「130歳以上生きたい」、90歳誕生日

ワールド

米テキサス州洪水の死者43人に、子ども15人犠牲 

ワールド

マスク氏、「アメリカ党」結成と投稿 中間選挙にらみ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 8
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中