大谷翔平の経済効果は457億円、1年でほぼ倍増...希代のMLBスターが動かすお金は「桁違い」
THE OHTANI EFFECT
エンゼルスのホームスタジアムに飾られた大谷の壁画の下で入場を待つ大勢のファン(今年7月) USA TODAY SPORTSーREUTERS
<抜群の実力と好感度を誇る大谷翔平は、たった1人で巨額の450億円を生み出した>
約100年前に投打二刀流プレーヤーとして活躍した「野球の神様」ベーブ・ルースを抜く日本人選手が出てくるとは、野球ファンは想像もしていなかったはずだ。
米大リーグ(MLB)で数々の記録を塗り替えている大谷翔平は100年、いや200年に1人の野球選手かもしれない。そして、日米の野球ファンを熱狂させる彼が生み出す経済効果は、その活躍ぶりに比例するように、とどまるところを知らない。大谷は経済的な面でも莫大な影響力を持つ存在だ。
では、大谷が動かすお金とはどれほどのものなのか。
大谷が生み出す経済効果は年俸をはじめ、スポンサー契約料やCM出演料、ファンが払うチケット代などにより算定される。こうしたお金は経済効果に算定されないと誤解するファンもいるが、いずれも経済効果の元になる。大谷は得たお金を住居や車、食事などに消費し、預金もする。金融機関はそれを基に融資を行い、企業は工場建設に投資したり、従業員に賃金を支払ったりする。これらは全て経済効果である。
経済効果は、人や企業が消費や投資した「直接効果」と、そこから波及した消費・投資の売上増加額である「波及効果」を合計し、その数値を産業連関分析により計算する。
一例として、直接効果の算出方法を説明しよう。
昨年、大谷が出場したホームとビジターの試合では、欠場時と比較して計63万1174人のファンが増加していた。米メディア「マネーワイズ」によると、全球場で4人家族がチケット代や飲食などに費やした平均消費額は、現在のレートや物価上昇率を加味すると3万8720円。大谷目当てのファンがホームの場合は約56万7000人(81試合)、ビジターでは約6万4174人増加したと仮定すると、観客増加による消費額は約61億976万円になる。
1年で経済効果がほぼ倍増
経済効果の算出に欠かせないのが産業連関表だ。国や地域の全産業部門を数十から数百の部門に分類し、各産業部門の生産物・サービスの需要と供給を1つの表にまとめて分析する手法を産業連関分析という。この表を使い、ある産業部門で需要が増加した際、ほかの産業部門でどれだけ生産量が増加するかを計算する。
今回は大谷の年俸、スポンサー契約料、CM出演料、放送権料など8つの項目によって算出した。その上で、直接効果がもたらす波及効果について産業連関分析を用いると、2022年の経済効果は450億円を超え、21年の約240億円からほぼ倍増していた。