最新記事
人種問題

軽視されてきた「黒人の歴史」...忘れられた功績に光を当てる作品の意義を、モーガン・フリーマンが語る

Black History Is American History

2023年9月30日(土)17時23分
モーガン・フリーマン(俳優)

231003p50_MGF_01.jpg

第2次大戦の最前線で多くの戦果を収めた第761戦車大隊 WILLIAM VANDIVERTーKEYSTONEーHULTON ARCHIVE/GETTY IMAGES

この作品は第761大隊の全てを概説する。彼らの訓練内容、訓練期間、非常に厳しい訓練を積んだ理由、彼らがなぜ招集されたのか、フランスに到着した彼らの身に何が起きたのか。

第761大隊は仲間内では「バスタード・バタリオン(ろくでなし大隊)」と呼ばれ、必要に応じて所属が転々と変わり、常に歩兵連隊と行動を共にした。彼らはフランスに到着すると戦闘任務に就いて次々と戦果を上げたため、183日間連続で最前線に配備された。

数々の功績を残したにもかかわらず、彼らの戦功をたたえて賞が授与されたのは終戦から30年以上たってからだった。個人的には、黒人の歴史を軽視したことに対して、演壇に立って怒鳴りつけたい。黒人の歴史はアメリカの歴史だ。いまだに歴史から抜け落ちたままになっている部分を修正するのが今の私の仕事だ。

驚くべき真実が明らかに

私が子供の頃、ジェシーとウィリーという2人のおじが招集されて第2次大戦に従軍した。

幼かった私は何が起きているのかよく分かっていなかったが、戦争が起きていることは知っていた。当時はミシシッピ州に住んでいて、その後一家でシカゴに引っ越した。シカゴには夜間の空襲などに備えて灯火管制区域があり、屋内の光が外に漏れないようブラインドを全て下ろし、灯油ランプの明かりを落とした。

私が6歳半くらいの頃、おじたちの1人が太平洋で戦闘中行方不明になったと聞かされたのを覚えている。遺体が見つからないため戦死とは言えなかったのだ。

私は何年も2人のおじに関する記録を探したが、何一つ見つけることができなかった。ところが、監督のフィルが並外れた調査能力を発揮し、ウィリーが配備されたのは太平洋ではなくフランスだったことだけでなく、戦死でもなかったことを突き止めた。ウィリーは殺されたのだ。私たち制作チームは次回、この大いなるミステリーの解明に挑むつもりだ。

それらの記録は私にとって驚くべき発見で、おかげで実際には何が起きたのかが分かった。2人のおじがいなくなったとき私は6歳で、最後に彼らと会ったのは父方の祖母が死んで葬儀のために彼らが帰郷したときだ。2人とも軍服を着ていた。その後の消息は噂や人づてに聞くばかりだった。

自分が発見したことについて感じたことをどう表現したらいいか分からないが、真実を突き止め、「誰が」「何を」「どこで」「なぜ」を知るのは喜ばしいことだ。第761大隊のような大隊が当時しかるべき評価を与えられていたら、アメリカの社会状況はきっと違っていたはずだ。

黒人は注目に値するような重要な功績は全く残していない、と多くの人が考えている。しかし、それは歴史から抜け落ちているにすぎない。

これは私たちの物語。私たち全員の、ありのままの私たちの物語である。この物語はアメリカの歴史なのだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米12月小売売上高、前月比横ばい 個人消費の鈍化示

ビジネス

米雇用コスト、第4四半期は前年比3.4%上昇 4年

ビジネス

米輸入物価、25年12月は前月比0.1%上昇 前年

ビジネス

中国人民銀、内需拡大へ金融支援強化へ 過剰生産と消
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    崖が住居の目の前まで迫り、住宅が傾く...シチリア島…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 7
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 8
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 9
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 10
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 10
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中