競技人口、ファン人口とも右肩上がり 日本の企業・学校で導入進むeスポーツ、そのポテンシャルとは?
部活としてeスポーツを取り入れる学校も増加
教育現場でのeスポーツの広がりも著しい。「全国高校eスポーツ選手権」や「ステージゼロ」など、高校生を対象とした大会が開催され、全国から多くの高校が参戦している。2022年に行われた「ステージゼロ」には2,060校6,728人の生徒が参加した。
特に目立つのが通信制高校の存在だ。通信制ゆえに通常の部活動がしにくい環境の中、オンラインで練習、活動ができるeスポーツは通信制高校の部活として最適と言える。今や通信制高校に通う生徒数は20万人を超え、高校生全体の約7.5%となっている(出典:文部科学省「学校基本調査」、2022年)。全日制高校でもeスポーツを取り入れる学校は増えており、私立高校を中心にeスポーツ部が発足している。
北米教育eスポーツ連盟(NASEF)の日本支部であるNASEF JAPANや全国高等学校eスポーツ連盟(JHSEF)など、eスポーツを教育と結びつける試みを行う団体もある。2019年に文部科学省が開始した、生徒一人に1台のパソコンと高速ネットワークを整備する取り組み「GIGAスクール構想」とも親和性が高く、eスポーツは教育から排除される対象ではなく、利用される対象へ変化する可能性を秘めている。
このように、さまざまな観点からeスポーツは文化、ビジネス面を支える事象となるポテンシャルを持ち合わせていると言えるだろう。特に若年層への理解、繋がりを持つには、有効な手段の一つであるのは間違いない。これらの現象は全国規模で浸透しつつあるが、その中でも東京都が牽引している。小池百合子都知事が実行委員会名誉委員長を務める「東京eスポーツフェスタ」は2020年から毎年開催(2021・2022年はオンライン開催)しており、東京の中小企業とeスポーツの関わりをバックアップ。eスポーツ産業への参入障壁の排除に積極的に取り組んでいる。
岡安学(おかやす・まなぶ)
eスポーツライター。ゲーム情報誌編集部を経てフリーランスに。eスポーツ関連とデジタル機器を中心にWebや雑誌などで活躍中。著書に『図解即戦力 ゲーム業界のしくみと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)などがある。