最新記事
eスポーツ

競技人口、ファン人口とも右肩上がり 日本の企業・学校で導入進むeスポーツ、そのポテンシャルとは?

2023年6月21日(水)11時30分
※TOKYO UPDATESより転載

部活としてeスポーツを取り入れる学校も増加

教育現場でのeスポーツの広がりも著しい。「全国高校eスポーツ選手権」や「ステージゼロ」など、高校生を対象とした大会が開催され、全国から多くの高校が参戦している。2022年に行われた「ステージゼロ」には2,060校6,728人の生徒が参加した。

特に目立つのが通信制高校の存在だ。通信制ゆえに通常の部活動がしにくい環境の中、オンラインで練習、活動ができるeスポーツは通信制高校の部活として最適と言える。今や通信制高校に通う生徒数は20万人を超え、高校生全体の約7.5%となっている(出典:文部科学省「学校基本調査」、2022年)。全日制高校でもeスポーツを取り入れる学校は増えており、私立高校を中心にeスポーツ部が発足している。

tokyoupdates230619_3.jpg

2023年2月にLFS 池袋 esports Arena(東京都豊島区)で開催された「第5回全国高校eスポーツ選手権」において『League of Legends』部門で優勝したN高。Photo: Okayasu Manabu

北米教育eスポーツ連盟(NASEF)の日本支部であるNASEF JAPANや全国高等学校eスポーツ連盟(JHSEF)など、eスポーツを教育と結びつける試みを行う団体もある。2019年に文部科学省が開始した、生徒一人に1台のパソコンと高速ネットワークを整備する取り組み「GIGAスクール構想」とも親和性が高く、eスポーツは教育から排除される対象ではなく、利用される対象へ変化する可能性を秘めている。

このように、さまざまな観点からeスポーツは文化、ビジネス面を支える事象となるポテンシャルを持ち合わせていると言えるだろう。特に若年層への理解、繋がりを持つには、有効な手段の一つであるのは間違いない。これらの現象は全国規模で浸透しつつあるが、その中でも東京都が牽引している。小池百合子都知事が実行委員会名誉委員長を務める「東京eスポーツフェスタ」は2020年から毎年開催(2021・2022年はオンライン開催)しており、東京の中小企業とeスポーツの関わりをバックアップ。eスポーツ産業への参入障壁の排除に積極的に取り組んでいる。


okayasu2.jpg岡安学(おかやす・まなぶ)
eスポーツライター。ゲーム情報誌編集部を経てフリーランスに。eスポーツ関連とデジタル機器を中心にWebや雑誌などで活躍中。著書に『図解即戦力 ゲーム業界のしくみと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)などがある。

※当記事は「TOKYO UPDATES」からの転載記事です。
logo_tokyoupdates.png

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪が16歳未満のSNS禁止法施行、世界初 首相「誇

ワールド

ウクライナ和平には欧州が中心的関与を、ローマ教皇 

ビジネス

ルクオイル株凍結で損失の米投資家に資産売却で返済、

ビジネス

英中銀当局者、金利見通し巡り異なる見解 来週の会合
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中