<2009年の音楽誌インタビューで語っていた、「救い」としての音楽と韓国音楽の可能性、資本主義の揺らぎ>

2009年に5年ぶりとなるソロアルバム『out of noise』を発表するタイミングで、坂本龍一はウェブ音楽誌e-daysの取材に応じた。自らの音楽の成り立ち、社会の中の音楽の役割について答えつつ、韓国音楽のブレイクや金融危機後の資本主義の揺らぎも予見していた。(聞き手は江坂健)。

◇ ◇ ◇
──これまでの坂本さんの音楽からは、構築的な印象を持つことが多かったのですが、今回は絵画的というか、感覚的というか......そんな印象を持ちました。今、音楽を作られるに当たって、最も大切にされていることは何ですか?

「響き」ですね。今回は、特にコンセプトもなく......いつもないんですけれど(笑)。2、3年前から自分で取ったメモを振り返ってみると、響きから何かを作ろうとしていた、しているんですね。響きは街にもいろいろあるじゃないですか。いろいろな好きな響きを追っているという感じですね。だから、構築的に何かを作るという、建築的なことはあまりやってなくて。

──それは、ここ数年、徐々にそうなられたんですか?

だんだん響き重視になってきたという感じですかね。う~ん、そうなんだろうな。建築と音楽ってよく比較されるけれど、建築的に音を重ねていって何かを作る、ということにはあまり興味がなくなってきたかな。今回は生け花だったら刈る、音を抜くようなことを重視してきた。自然にそうなってきたんですけれど。

──音のバランスというか、美を重視されている、ということですか?

まぁ、美なのかな......。それはもう、個人的なものだから、なんと言ったらいいのか。バイクのエンジンのブルルン~、という音が好き、という方もいるでしょうし。美と言わなくてもいいのかもしれない、好きな「音」ということですね。響きで。もっと簡単に言っちゃうと、自分の聴きたいような音を並べただけなんですよ。作った、ではなく。

──(アーティストの)高谷史郎さんとのインスタレーション『LIFE』の情景も、今回、思い浮かぶイメージに近いものがあります。

あれもやっぱり大きく影響しているかな。あれも構築的ではないですね。もっと空間的というのか、あの時は「庭」と言っていたんですが、2次元的な時間の流れで何かが生起していくとか、論理的に何かに移っていくというようなことはほとんど考えないで、空間にどう音を置くか、ということが面白かったんですね。

【動画】坂本龍一ソロアルバム『out of noise』

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