K-カルチャー、2022年は「逆走」がトレンド K-POPからドラマ、ウェブ小説まで
Netflixなどドラマの世界でも「逆走」現象が
しかし、「逆走」がK-POPだけのものと思ったら間違いだ。スマートフォンとサブスクサービスの普及で、いつどこでもコンテンツを楽しめるようになったことから、さまざまなK-コンテンツのジャンルで「逆走」現象が見られるようになっている。
Netflixのトップ10チャートによると、今年の夏話題となった『私の解放日誌』のヒットによって、同じ脚本家パク・ヘヨンの前作『マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜』も再び注目を集めた『マイ・ディア・ミスター』は2018年に放送されたドラマだが、今年6月6日から2週間、韓国のNetflixでトップ10チャートに返り咲き、4年前の作品とは思えない人気を集めた。
さらに、ドラマの世界で起きた新しい「逆走」現象として注目されたのはプラットフォーム間での「逆走」だろう。その代表的な例が今年の韓国ドラマを代表する大ヒット作品『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』だろう。韓国ドラマの多くは地上波、あるいはケーブル局で放送されたものが注目を集めて、Netflixなどの配信サービスでさらに話題を集めてヒットする、というパターンをとる。
ところが『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』は、今年4月に誕生した新興ケーブル局ENAで放送されたため、昨年『恋慕』などでブレイクした女優パク・ウンビンの新作だったのにかかわらず、スタート当初の第1話の視聴率はわずか0.9%に過ぎなかった。その代わりに放送と同時に配信が行われたNetflixで口コミが広まり、それに連動する形でENAでの視聴率も上昇、最高17.5%という無名のケーブル局としては破格の好成績を収めることに成功した。
メディアを横断した「逆走」現象も
さらに2022年は、一つのコンテンツがウェブ小説やウェブトゥーン、ドラマ、映画など、多様なメディアを横断する形で作品化され、「逆走」のサプライチェーンとして成功を収める事例も見られた。特に、NAVERウェブトゥーンやカカオ・エンターテインメントなどの大型ウェブトゥーン、ウェブ小説サービスで製作されたドラマは年間40本にも達し、コンテンツの版権契約や映像化が活発に行われ、メディア横断の「逆走」は2023年にはさらに増える見通しだ。
こうしたメディア横断型の「逆走」の最新かつ最大のヒット作が、つい先日最終回を迎えたJTBCのドラマ『財閥家の末息子』(主演=ソン・ジュンギ、イ・ソンミン)だ。原作のウェブ小説『財閥家の末息子』は、NAVERウェブトゥーンの子会社であるムンピアで2017年から2018年まで連載された完結から4年も経った作品。ところがドラマ化をきっかけに売上が急増。11月末時点で2カ月前の230倍の売上を記録しているという。ドラマ自体も最高視聴率26.94%を記録し、JTBCの歴代ドラマの中で最高視聴率2位という記録を打ち立てた。
日本でも『梨泰院クラス』はドラマだけでなく原作のウェブトゥーンも人気を集めているし、韓国のウェブ小説やエッセイなど読者層を拡大している。近い将来、韓国のエンタメコンテンツが日本でもメディア横断型の「逆走」ヒットを果たす日が来るかもしれない。