最新記事

メディア

「一番見るのはヒカキン」と話す盲学校の生徒たち YouTubeやゲームが大好きな彼らはどうやって「見る」のか

2021年7月9日(金)19時34分
Screenless Media Lab. *PRESIDENT Onlineからの転載
スマートフォンで動画を見る高校生

視覚障害のある盲学校の生徒も「一番見るのはヒカキン」と言う。※写真はイメージです


若者に人気のYouTube。それは視覚障害のある若者の間でも同じだ。ある盲学校の生徒たちは「YouTubeでヒカキンの番組をよく見る」という。彼らはどうやって動画を楽しんでいるのか――。


視覚に頼った番組や広告が増えている

インターネットの発達とスマートフォンの普及により、人が日々さらされる情報量は近年、飛躍的に増加し、情報過多の弊害が指摘されるようになった。

2018年にNHK放送文化研究所が実施した「情報とメディア利用」世論調査でも、年代を問わず多くの人が「情報が多すぎる」「情報疲れが起きている」と回答している。

いつ頃からか、テレビには頻繁(ひんぱん)に字幕が入るようになった。字幕機能の設定にかかわらず、番組中のすべてのコメントが字幕表示される傾向が強まっている。

視覚のみで番組のリズム感を表現するこの手法は、電車内や街頭で音声を伴わずに放映されるデジタルサイネージ広告等が典型だ。ほかにも、移動中などに音を消してスマホ画面を見る習慣が一般化したことで、ネット上の動画CMでも同様の手法が採用されるようになった。

効果音やあおり文句などを動画の中で視覚的に表現し、音声なしでも不足を感じさせないようコンテンツを構成するのだ。このように、動画メディアでは、音声情報を視覚に置き換える動きも広がっている。より分かりやすくはなるが、情報量はさらに増えるとも言えるだろう。

ではこうした傾向を、視覚に障害のある人たちはどう感じているのだろうか。

目が見えないと豊かな感性が身につきやすい?

劇作家の寺山修司が制作し1984年に放映された、ソニーカセットテープのラジオCMがある。作中、寺山は目の見えない若者たちが学ぶ文京盲学校を訪ねた経験を語り、「彼らは色を音で表現するんです」と言って、その例を挙げる。

「白い色はこんな音(蒸気機関車の汽笛の音が流れる)」「金色はこんな音(金属の鍋を叩く音)」。「鏡はどんな音」と訊くと、「絹糸の切れる音」という答えが返ってきた。

その表現は独特で、詩的で新鮮な印象を受ける。「目の見えない人々には、健常者が持っていない独自の感覚や感性の豊かさがあるのではないか」と感じさせられる。このCM作品は「ACCパーマネントコレクション(CM殿堂入り作品)」に選定され、今もYouTubeで視聴することができる。

それから40年後の現在、目の見えない若者たちはどのように世の中を聞き取っているのだろうか。

われわれは目の見えない若者が置かれた今の状況を知ろうと、かつて寺山修司が訪れた東京都立文京盲学校に取材を依頼し、許可をいただいた。高校生にあたる年代の視覚障害者の生徒が通学する特別支援学校である。

今、あなたにオススメ

ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏、信用リスクと不良債権が増大=ECB銀行監

ビジネス

独鉱工業生産、10月は予想以上に上昇、危機脱却まだ

ビジネス

中国恒大、猶予期間終了までにオフショア債利払いでき

ワールド

グラクソのコロナ治療薬、オミクロン株の全ての変異に

MAGAZINE

特集:真珠湾攻撃・日米開戦80年 戦争の記憶

2021年12月14日号(12/ 7発売)

キャスターとして戦争を伝えてきた櫻井翔が、海軍士官として戦没した大伯父の最期を追う

人気ランキング

  • 1

    【動画】乗用車を引きずりながら、高速道路を走り続ける大型トラック

  • 2

    「脳まで筋肉の柔道選手」と中傷された彼女が医学部合格を果たした、たった一つの理由

  • 3

    一番人懐こいネコの品種は?甘え過ぎへの対処法は?

  • 4

    子供が欲しかった僕は、女友達と恋愛抜きで子供の「…

  • 5

    親の「赤ちゃん言葉」は幼児期の言語習得に影響する

  • 6

    中2で起業、高1で母校を買収した女性起業家が考える理…

  • 7

    スペースXに「紛れもない破産リスク」 イーロン・マ…

  • 8

    恒大集団の本拠地・深圳で不動産仲介業者が苦境 市場…

  • 9

    パワーカップル世帯の動向──コロナ禍でも増加、夫の…

  • 10

    「時計の針を10年進めた」...本田圭佑がカンボジアで…

  • 1

    「脳まで筋肉の柔道選手」と中傷された彼女が医学部合格を果たした、たった一つの理由

  • 2

    大暴落の足音

  • 3

    一番人懐こいネコの品種は?甘え過ぎへの対処法は?

  • 4

    子供が欲しかった僕は、女友達と恋愛抜きで子供の「…

  • 5

    親の「赤ちゃん言葉」は幼児期の言語習得に影響する

  • 6

    半身を失った「ゾンビザメ」、10匹に共食いされてな…

  • 7

    【動画】乗用車を引きずりながら、高速道路を走り続…

  • 8

    A・ボールドウィン誤射事件、インタビューで深まった…

  • 9

    「米化」でブレイク オートミールにハマった人たちに…

  • 10

    「時計の針を10年進めた」...本田圭佑がカンボジアで…

  • 1

    【動画】リビングの壁を這う「猫サイズ」のクモ

  • 2

    一番人懐こいネコの品種は?甘え過ぎへの対処法は?

  • 3

    「脳まで筋肉の柔道選手」と中傷された彼女が医学部合格を果たした、たった一つの理由

  • 4

    子供が欲しかった僕は、女友達と恋愛抜きで子供の「…

  • 5

    最初から「失敗」が決まっていたクロエ・ジャオ監督…

  • 6

    大暴落の足音

  • 7

    親の「赤ちゃん言葉」は幼児期の言語習得に影響する

  • 8

    半身を失った「ゾンビザメ」、10匹に共食いされてな…

  • 9

    「米化」でブレイク オートミールにハマった人たちに…

  • 10

    「可愛すぎて死にそう」ウサギを真似してぴょんぴょ…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メンバーシップ登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

STORIES ARCHIVE

  • 2021年12月
  • 2021年11月
  • 2021年10月
  • 2021年9月
  • 2021年8月
  • 2021年7月