K-POPと共にハングルが世界へ拡散 ネットやデモで政治スローガン訴えるツールに
チリでは拡散狙いK-POPに便乗?
メッセージをSNSで発信する際、BTSなど世界的に人気のK-POPアーティストの関連ハッシュタグを付けて投稿すると、検索に引っかかって多くの人の目に留まる効果があるという。昨年10月頃、チリで行われた大規模デモでも、この手法が使われ注目された。
チリの首都サンティアゴを中心に行われた反政府デモでは、デモの呼びかけや反政府メッセージをSNSで投稿する際、多くの人が「#BTS 」「#K-POP」などのハッシュタグと共に、K-POPアイドルの画像も一緒に添付しているのをよく見かけた。
チリ政府が発表した「デモ開始時(10月中旬)から1か月間のデモに関するSNS書き込みに関する分析」によると、1か月で関連投稿6000万件のうち、K-POPに絡めて投稿された内容は、400万件にも及んだという。
タイではデモの募金で1000万円集める
反政府デモといえば、最近では10月中旬にタイで行われた大規模デモでK-POPの影響力が注目を集めた。10月20日に報道されたタイの現地メディアによると、タイのK-POPファンたち(主に少女時代/BTS/GOT7/SUPER JUNIORのファンら)が力を合わせて、デモ隊の必要な物品を購入するための募金を開始した。その結果300万バーツ(約1000万円)も集まったという。。
またK-POPファンといえば、お金を集めて街頭看板掲載権を買い、広告でアイドルの誕生日を祝うことでも有名だが、タイのファンたちは、タイの地下鉄にこういった広告を出さないボイコットを始めた。これは、デモ隊が移動し集結させないよう地下鉄が一部駅のゲートを閉めたことについて抗議する一種の不買運動である。
さらに、デモの最中にもパフォーマンスとしてのK-POPが用いられている。デモ隊の若い層を中心に、K-POPを歌いながらデモ行進をする姿や、SNSでダンスを踊る映像の投稿など多く見られた。
特に、少女時代の2007年の歌『また巡り合えた世界(Into the new world)』が人気なのだという。確かに、サビの部分の歌詞には、悲痛な過去から未来へ希望をもって進んでいくイメージが描かれており、デモ隊に重なる部分も多い。ちなみに、韓国で2017年に当時の朴槿恵大統領の弾劾を求めるデモの最中にも、この曲が歌われていたことは有名だ。
大阪で中国の女子と韓国語で会話
以前大阪でこんな経験をしたことがある。道で中国語圏の女の子二人組に道を聞かれたが、彼女たちは日本語も英語が通じず、こちらも中国語がわからなかった。ダメもとで「もしかして韓国語わかりますか?」と尋ねたら一人の女の子がK-POPファンで韓国語を勉強しているという。日本人と中国人の二人が「韓国語」によって意思疎通できる世の中になったのだ。
これは小さな例だが、このような出来事が、世界規模で起こっている。ハングルを使うことで韓国人とだけではなく、世界中にいる人々と繋がれ、韓国語は国境を越えてメッセージを伝えることができるツールのような役割を担うようになった。K-POP/Kカルチャーは今、このような部分にも影響を与えるようになったのだ。
日本のTOPIK(Test of Proficiency in Korean=韓国語能力試験)受験者は、若い層を中心に5年連続増加し、もうすぐ40万人を超えるとみられている。日本の若者は、これから韓国語を使ってどのようなメッセージを世界に発信し、世界の人々と交流していくのか楽しみである。