最新記事

カルチャー

K-POPと共にハングルが世界へ拡散 ネットやデモで政治スローガン訴えるツールに

2020年12月8日(火)19時55分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

チリでは拡散狙いK-POPに便乗?

メッセージをSNSで発信する際、BTSなど世界的に人気のK-POPアーティストの関連ハッシュタグを付けて投稿すると、検索に引っかかって多くの人の目に留まる効果があるという。昨年10月頃、チリで行われた大規模デモでも、この手法が使われ注目された。

チリの首都サンティアゴを中心に行われた反政府デモでは、デモの呼びかけや反政府メッセージをSNSで投稿する際、多くの人が「#BTS 」「#K-POP」などのハッシュタグと共に、K-POPアイドルの画像も一緒に添付しているのをよく見かけた。

チリ政府が発表した「デモ開始時(10月中旬)から1か月間のデモに関するSNS書き込みに関する分析」によると、1か月で関連投稿6000万件のうち、K-POPに絡めて投稿された内容は、400万件にも及んだという。

タイではデモの募金で1000万円集める

反政府デモといえば、最近では10月中旬にタイで行われた大規模デモでK-POPの影響力が注目を集めた。10月20日に報道されたタイの現地メディアによると、タイのK-POPファンたち(主に少女時代/BTS/GOT7/SUPER JUNIORのファンら)が力を合わせて、デモ隊の必要な物品を購入するための募金を開始した。その結果300万バーツ(約1000万円)も集まったという。。

またK-POPファンといえば、お金を集めて街頭看板掲載権を買い、広告でアイドルの誕生日を祝うことでも有名だが、タイのファンたちは、タイの地下鉄にこういった広告を出さないボイコットを始めた。これは、デモ隊が移動し集結させないよう地下鉄が一部駅のゲートを閉めたことについて抗議する一種の不買運動である。

さらに、デモの最中にもパフォーマンスとしてのK-POPが用いられている。デモ隊の若い層を中心に、K-POPを歌いながらデモ行進をする姿や、SNSでダンスを踊る映像の投稿など多く見られた。

特に、少女時代の2007年の歌『また巡り合えた世界(Into the new world)』が人気なのだという。確かに、サビの部分の歌詞には、悲痛な過去から未来へ希望をもって進んでいくイメージが描かれており、デモ隊に重なる部分も多い。ちなみに、韓国で2017年に当時の朴槿恵大統領の弾劾を求めるデモの最中にも、この曲が歌われていたことは有名だ。

大阪で中国の女子と韓国語で会話

以前大阪でこんな経験をしたことがある。道で中国語圏の女の子二人組に道を聞かれたが、彼女たちは日本語も英語が通じず、こちらも中国語がわからなかった。ダメもとで「もしかして韓国語わかりますか?」と尋ねたら一人の女の子がK-POPファンで韓国語を勉強しているという。日本人と中国人の二人が「韓国語」によって意思疎通できる世の中になったのだ。

これは小さな例だが、このような出来事が、世界規模で起こっている。ハングルを使うことで韓国人とだけではなく、世界中にいる人々と繋がれ、韓国語は国境を越えてメッセージを伝えることができるツールのような役割を担うようになった。K-POP/Kカルチャーは今、このような部分にも影響を与えるようになったのだ。

日本のTOPIK(Test of Proficiency in Korean=韓国語能力試験)受験者は、若い層を中心に5年連続増加し、もうすぐ40万人を超えるとみられている。日本の若者は、これから韓国語を使ってどのようなメッセージを世界に発信し、世界の人々と交流していくのか楽しみである。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ウォルマート決算や経済指標に注目、「AIの負の影響

ワールド

ドバイ港湾DPワールドのトップ辞任、「エプスタイン

ワールド

米はウクライナに「譲歩求めすぎ」、ゼレンスキー氏が

ワールド

反体制派ナワリヌイ氏は「毒殺」、欧州5カ国声明 ロ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 8
    【インタビュー】「4回転の神」イリヤ・マリニンが語…
  • 9
    機内の通路を這い回る男性客...閉ざされた空間での「…
  • 10
    中国の砂漠で発見された謎の物体、その正体は「ミサ…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 10
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中