最新記事

スター・ウォーズ完結編『スカイウォーカーの夜明け』への道のり

中二病のカイロ・レンが愛おしい

2019年12月19日(木)20時00分
大橋 希(本誌記者)

©2019 and TM Lucsafilm Ltd. All Rights Reserved.

<レジスタンスとファースト・オーダーの決戦、パルパティーン皇帝の復活、新たな登場人物......と盛りだくさんのシリーズ最終章『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』>

ついにシリーズの最終章『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が公開される(12月20日)。ネタバレはしないよう、ここで一足早く紹介をしてみたい。

2019SWmook_cover200.jpg遠い昔、はるか彼方の銀河系で......もちろんオープニングはおなじみのもので、あの音楽を聴き、映像を目にするだけでわくわくが止まらない。おなじみとなった登場人物たちとの再会も大いなる喜びだ。

レジスタンスとファースト・オーダーの戦い、レイとカイロ・レンの対決、パルパティーン皇帝の復活、過去の物語とのつながりと伏線の回収、そして新たな登場人物たち――最終章として描くべきものが多過ぎるため、展開がなんとも目まぐるしい(良く言えば「盛りだくさん」だが)。それゆえに、パルパティーンとの重要な対峙場面が冗長に思えたり、反対に描写が足りないと感じたりするところが出てきてしまう。

それでもファンにとっては、十分に楽しめる。過去作を見直してみよう、と思う気持ちにもきっとなるはずだ。

『スカイウォーカーの夜明け』で、なにより注目されるのはレイの出自、そして光を象徴するレイと、闇に落ちたカイロ・レンの関係がどうなるのかだろう。前作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で反発し合いながらも、通じる部分のあった2人だが、今回はその点がさらにはっきりと描かれる。光と闇は対照的であると同時に、片方がなければ片方は成立しない。そのバランスと緊張感が画面から伝わってくる。

「スター・ウォーズ」シリーズでは激しい戦闘シーンや悲しい描写があっても、なぜかほかの映画にはない「優しさ」があるように思う。それは人間からドロイド、動物まで、多種多様なキャラクターたちが共存しているおかげだろう。「世の中にはいろんな人がいて、映画の中に『自分みたいだ』と思える人が出てくることは非常に重要だ」とエイブラムズ監督が語っているように、あらゆる存在を包み込む宇宙の大きさが感じられるのだ。

別れと出会い、大切な仲間との信頼と絆が物語の1つの軸であり、筆者は途中から涙腺がゆるみっぱなし。個人的には、好きな人(たち)に振りむいてもらいたくて必死で、悪者になり切れない中二病のようなカイロ・レンが愛しくて仕方がなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英仏・ウクライナの軍トップ、数日内に会合へ=英報道

ビジネス

米国株式市場=S&P500・ダウ反発、大幅安から切

ビジネス

米利下げ時期「物価動向次第」、関税の影響懸念=リッ

ワールド

再送-日鉄副会長、4月1日に米商務長官と面会=報道
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中