最新記事

YouTube

過熱する韓国キッズ・ユーチューバー ベンツ運転からタコのつかみ食いまで

2019年8月21日(水)19時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

韓国No.ユーチューバー「ボラムチューブ」の過去動画よりボラムがベンツを運転しているようす JTBC News / YouTube

<1本の動画でマンションが買えるほどの報酬を生み出すという6歳のキッズユーチューバー。だが、その子は本当に動画を作りたいのだろうか>

今年発表された2018年度「日本の小学生がなりたい職業」第6位にユーチューバーが入っているように、ユーチューバーはすっかり職業として定着しているようだ。お隣りの韓国でも今年、韓国教育部が発表した2018年度版「小学生の希望する職業」第5位に今回初めてユーチューバーが登場し大人たちを驚かせた。韓国でもユーチューバーはあこがれの職業のようだ。

「自動車を運転する」動画

先月27日、アメリカのCNNにひとりの韓国人ユーチューバーが取り上げられ話題となった。YouTubeチャンネル「ボラムチューブ」のイ・ボラムちゃん6歳だ。ボラムちゃんは現在2つのチャンネルを保有している。

主に日常やチャレンジなどを公開している「ボラムチューブ・ブイログ」は約1850万人、おもちゃなどのレビューが中心の「ボラムチューブ・トイ・レビュー」は約1380万人がフォローしており、合計の登録者数は3230万人を超える。両親は家族で株式会社ボラムファミリーを設立し、YouTube動画制作中心の会社運営をしているのだが、CNNはこのボラムファミリーが今年4月、ソウルの富裕層が住む江南地域に地下1階地上5階建て258.3平方メートルのビルを95億ウォンで購入したと報道した。

もちろん、この話題は韓国国内のニュースでも報じられたが、この「ボラムチューブ」に対して問題視する声が上がっている。まだ6歳の女の子に大人が様々なことをさせてビデオに収め、それを本人の意思とは関係なく公開することは、幼児虐待ではないかというのだ。実際、過去に「ボラムチューブ」で公開された動画には「お父さんの財布からお金を盗む」「好きな人形を車で踏み潰す」「自動車を運転する」といったものがあったという。

実はこの「ボラムチューブ」は、すでに2017年9月、子供の権利保護を支援する国際NGO団体「セイブ・ザ・チルドレン」から「子供に精神的苦痛を与える映像を演出して撮影した児童虐待の疑い」で告発されている。ソウル家庭裁判所は、2018年7月29日ボラムチャンネルを含む子供をメインとしたYouTubeチャンネル数件を児童虐待と判断し、これらの子供たちの両親に専門家の心理カウンセリングを受けさせることとなった。

確かに最近、韓国の子供が登場するYouTubeチャンネルは、目先の再生回数欲しさに徐々に過激度を増しているようだ。ダンスを踊って公開する動画は一番多いが、なかには10歳の女の子にミニスカートを穿かせ、人気歌手ソンミのセクシーなダンスを踊らせる動画や、ASMR(自律感覚絶頂反応。マイクを近づけて様々な音を聞かせる)チャンネルでは、子供の口の音としてマイクをなめさせる番組まで存在する。もちろん、これらはすべて大人がやらせているのである。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国人民銀、一部銀行の債券投資調査 利益やリスクに

ワールド

香港大規模火災、死者159人・不明31人 修繕住宅

ビジネス

ECB、イタリアに金準備巡る予算修正案の再考を要請

ビジネス

トルコCPI、11月は前年比+31.07% 予想下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 8
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 9
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 10
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中