最新記事

中国

ブルース・ウィリスが「抗日」映画に

スクリーンのタフガイをノックアウトしたチャイナマネー

2015年6月11日(木)10時59分
ポーラ・メヒア

中国でも人気 旧日本軍の重慶爆撃を題材にした映画に出演するブルース・ウィリス Mario Anzuoni- REUTERS

 ブルース・ウィリスが第二次大戦を題材にした中国映画『大爆撃(仮題)』に出演する。契約成立のわずか数日後の先週、8日間の撮影のため上海に向かったという。この作品には国有映画会社の中国電影集団も出資。公開は今年末の予定だ。

 監督は蕭鋒(シャオ・フォン)。旧日本軍が1938〜43年に行った重慶での爆撃を描いている。爆撃の犠牲者は1万1000人を超えた。

 当時、中国は多数の戦闘機を保有していたがパイロットが不足していたため、アメリカ人志願兵が現地で協力した。ウィリスが演じるのは教官で、指導を受けるパイロット役は韓国の人気俳優ソン・スンホン。監督のブログによると、中国の人気俳優リウ・イエとニコラス・ツェーも出演するという。

 中国がこの映画を製作する目的は、近代史の重要な部分に光を当て、歴史教科書が伝え切れていない戦争の物語を未来の世代に伝えることだとか。「この作品は重要な意味を持つ。アジアの多くの国が戦争の被害を受けたからだ。若い世代には、この史実をぜひ知ってもらいたい」と、製作者の1人である楊歩亭(ヤン・プーティン)も米バラエティー誌に語っている。

 アメリカで映画館に行く人が減り続けている一方、中国ではハリウッド映画が大人気。英ガーディアン紙によれば、昨年の中国の興行収入ランキングでは、『トランスフォーマー/ロストエイジ』『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』『X-MEN:フュ―チャー&パスト』が、それぞれ1位、3位、4位を占めた。

 中国では映画の興行収入が昨年34%も増加。世界最大の映画市場になる日も近いだろう。ガーディアンによれば、最近ではウィリス出演の『エクスペンダブルズ2』と『G.I.ジョー バック2リベンジ』が、中国でいずれも5000万ドルを超える興行収入を達成した。ウィリスが『大爆撃』に起用されたのは、中国に大勢の熱いファンがいるからだ。

[2015年6月16日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪首相、12日から訪中 中国はFTA見直しに言及

ビジネス

ドイツ輸出、5月は予想以上の減少 米国向けが2カ月

ビジネス

旧村上ファンド系、フジ・メディアHD株を買い増し 

ワールド

赤沢再生相、米商務長官と電話協議 「自動車合意なけ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 5
    「ヒラリーに似すぎ」なトランプ像...ディズニー・ワ…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    米テキサス州洪水「大規模災害宣言」...被害の陰に「…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 10
    中国は台湾侵攻でロシアと連携する。習の一声でプー…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 6
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中