激変する「成績が良い」の基準──世界に遅れていた日本の初等中等教育が変わる
「先生が教える」という考えはもう古い
新しい教育の何が「大改革」なのかといえば、明治維新以来150年続いてきた、「先生が一方的に何かを教える」という教育のありかたが、変わってしまうということです。
たとえば「分数の割り算をどうやるか」。従来は、先生が子どもたちに「割る数の分母と分子をひっくり返して掛ける」と一方的に教えていました。
しかしこれからは、「分数の割り算をどうやるか」について、子どもたちが次の授業までに考え、スライドショーにまとめて、クラスで発表する。それから皆でディスカッションして、正しいやりかたにたどり着く。そんな流れの授業が、だんだん定着していくものと期待されています。
すでに世界の初等中等教育では行われている、先生が教えるのではなく生徒が教える「反転授業」、スライドショーでプレゼンして、それを皆でディスカッションして、正しいやりかたにたどり着く「アクティヴ・ラーニング」が、当たり前のように日本の小学校、中学校でも行われるようになっていくわけです。
これはじつはものすごい変化です。明治維新以後150年間、学校教育は先生が「自分が習ったこと」を生徒たちに教え、それを生徒たちが次の世代に引き継いでいくという形で教育が行われてきました。
いまの先生は、自分が生徒だったときに習ったことを、同じようにあなたのお子さんに教えています。その先生が子どものときに教わった先生も、やっぱり子どものときに自分の先生から教わったときと同じようにやってきました。
だから、もし明治時代の先生を現代にタイムスリップさせ、「こういうことを教えてほしい」とお願いしても、ごく普通に、2020年代のいまでも先生ができてしまいます。当時との違いと言えば、黒板の色が変わって、さらには電子化されて便利になったということくらいです。あとは「最近の親は何かとうるさいから、生徒の扱いには注意してね」とアドバイスするくらいでしょうか。